蝉時雨が止む

e2ku

蝉時雨が止む

視界に映った蝉の亡骸はぐちゃぐちゃで、何故か私は目を離せずに嗚咽を堪えている。

狂いそうな程の猛暑に対して抱いた感情のひとつさえ忘れてしまうのも、この夏の所為にしてしまう。

夏が暑いのは当然のことである、と。

エスオーエスの声を零すことが羞恥に繋がるのならば救援は来ていたのか。

私という「一つの尊い命」を奪ったのは私であると、気付いたはいいが手遅れであった。

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蝉時雨が止む e2ku @2jo

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