特別政令都市、鏡原。そこは人型の犬や猫が住む特別な街だった。
大学受験に連続して失敗し、なんの目標もなく生きてきたこの物語の主人公。
親に突き放されたことと、姉が人手を欲していることが重なって、この街にやってきたのだ。
そこで、いきなりの緊急事態に遭遇する。自分の部屋の前に、雨に濡れ膝を抱えて蹲る猫が、傷だらけでふるえていたのだ。
飼い主であり持ち主に虐待されていたのだろう。極度に怯える姿が、それを想像させ、胸が痛む。
主人公は、その傷ついた猫を拾い共に暮らすようになる。その主人公の優しさに触れ、少しずつではあるが、体の傷もこころの傷も癒されていく。
そして、その猫で少女と暮らすうち、主人公には、次第に目指したいものが見えてきた。
そんな、こころ暖まる、不思議で素敵なファンタジーは如何だろうか……。