手料理一番

白川津 中々

 料理にレパートリーがないと言われた。


 仰る通りだが仕事終わりに買い出し行って作るとなると大変なのである。そりゃ鍋にレバニラ炒めに冷しゃぶなんかが多用されるよ。楽なんだもん。


 とはいえオーダーがあったからには聞かねばならぬだろう。適当にレシピを検索。簡単にできそうなもの……


 圧力鍋で超早調理ほら吹き大根!


 圧力鍋がないしそもそもあいつは大根が切らないなので却下。


 おかずいらず! 炊き込みご飯!


 炊飯器にしばらく臭いつくからな……あとあいつは牛蒡が嫌いだ。却下。


 お家でレストラン! チーズフォンデュ!


 ホットプレート出すのめんどくさい。あとあいつはチーズが嫌いである。却下。




 クソ使えないサイトを閉じ、結局豚肉とキャベツの登板焼き風に決定。キャベツと肉を敷いて焼酎を入れて蒸すだけ。手軽だ。副菜は豆腐とほうれん草のお浸し。出汁巻きと味噌汁もつけちゃおう。なんとまぁ贅沢な夕食だがたまにはいい。普段餌のように食事を摂取しているのだ。今日くらい許していただきたい。さて、それではゲームをしているあいつを呼ぼうか。



「ご飯できたよ」



 食卓の彩に反応は上々。が、一口食べて出た感想は「実家みたい」。もっと色々あるだろうと苦情が出かけるが我慢。まぁ、まずいわけでもないようなので良しとする。


 彼女と付き合って三年。もう少し、料理を勉強したいなと思うこの頃である。

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