恥 / パイナップルせんぱい

追手門学院大学文芸同好会

第1話

「チェックメイト!!」


 飛車の駒を将棋盤にたたきつけるのと同時に部室に声が響いた。

 パチン、「いやお前それチェスだから」先輩のその冷静な一手で優勢だった盤面はズルズルと劣勢になっていった。詰み、打つ手なしか。


「まだまだやな」


 僕が負けると先輩はいつもこう言う。ま、一度も勝ったことないから他を知らないだけなんだけど……


「なんで先輩そんなに強いんですか、ボードゲーム系全部強いですよね」


 思わず聞いてしまった。


「そんなこと聞く前にとりあえず一つのゲームを極めてみたら」


 ぐうの音も出ない。確かにそれはそれでありかもしれない。しかし、いつも先輩と遊ぶゲームは将棋ばかり、ちなみに先ほど先輩に聞いた言葉はハッタリである。自信満々に先輩が答えて、他のボードゲームで先輩をへし折ってやろうと考えていたのだが、思わぬ答えが返ってきてしまった。まあいい、あのゲームなら同じ系統だし問題ないだろう。


「先輩、今日こそ勝ちますよ」思わず顔に笑みがこぼれる。

「お前何か企んでるだろ」

「いやいやそんなことないですよ笑、今準備しますねー」


 いつものように将棋盤を机の下から引っ張り出してきて箱に入った将棋の駒を持ってきた。


「せいっ!!」


 箱にギチギチに詰めた将棋の駒を将棋盤の上にこぼれないように素早く被せる。そっと箱を取り将棋の駒の山を確認したところで先輩と目が合った。


「何してんの」


 あきれた顔で言う。


「将棋崩しですよ将棋崩し、先輩やったことないですか」

「あるけど……お前これで負けたら相当恥ずかしいよ」

「大丈夫です、このゲーム負けなしなんで」


 僕は相当自信満々だった。

 うちのローカルルールは取った駒の数ではなくて、玉将→飛車→角行→金将→銀将→桂馬→香車→歩兵の順で得点が高いポイント制。


「このルールで大丈夫ですか」

「問題ない」


 こうしてゲームが始まった訳だがなぜか点差が一向に開かずにずっと均衡している。残りの駒も少なくなってきた。あの飛車さえ取れれば僕の勝ちだ。


「その駒はあげないよ」


 クソ!! やっぱり気付かれてる、また僕は負けてしまうのか⁇

 パタン、静かな部室にその音だけが響いた。そういえばポイントにこだわってたけど音をだしたらその時点で負けが決定するんだった。僕はやっと先輩に勝った。


「これで勝ったと思うなよ」


 先輩は頬を赤くしてなんだか拗ねている感じだった。


「そんな顔もするんですね」

「……」


 どうやら僕は飛車の駒に縁があるらしい。





 あとがき


 久しぶりすぎて小説の書き方を忘れました。自分でも何かいてるかわからないので、内容にはあまり触れないでいただけると幸いです。あとタイトルは何の意味もありません。

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