第15話 最終話  大好きだよ

「なあ、響」

「何?」

「好きだよ」

「急に何?」

 無意識に言うようになった。

「いや、言いたくなって。可愛いな。好きだよ」

 もう一度言うと響の顔が赤くなる。

「からかわないでよ」

 そういうのが可愛いんだよ。

「俺もすき!」

「私も!!」

 おっと、子供達がいる前だったの忘れてた。

「俺も時と咲、好きだぞ」

「私もだよ」

 本当に妹と結婚して良かった。

 時と咲にも会えたし、いい人生だ。



 時と咲が中学生になった。

 その時に初めて、俺達が兄妹という事を教えた。

「「えっ!?」」

 凄く驚いている。

 そりゃあそうかあり得ないからな。

「ははっ。義理だよ。義理」

「「へぇー」」

「ちなみにあなた達のおじいちゃんとおばあちゃんも」

 響がそう言うと更に驚く。

「でも、私達は違うでしょ?」

「うん。時と咲は正真正銘の実兄妹!」

「だよね~」

 咲が残念そうだ。

 時は気付いてないが。

 もしかして…

「駄目だぞ。実の兄妹なんだから。…人に言える立場じゃないけど」

「どういうこと?」

 言うか…

「元々、私達は実兄妹だと思ってたの。結局そのまま付き合っちゃったんだよ」

 俺が言う前に響が言ってくれた。

「「えっ!?」」

 また、驚いている。

 それが普通だけどな。

「こ、子作りは?」

 そこ聞くか…

 そういう年頃になったのか。

 普通に気になるだけか?

「子作りは結婚してから。知りたいか分からないが子作り以外は付き合ってる時から」

「ちょ、ちょっと!!」

 響に弱いパンチされる。

 そして、此処にいる、皆の顔が赤くなった。

「へ、へぇー。そ、そうなんだ」

 あ、やべっ。

「だからといって、そういう事をするなよ」

「「う、うん」」

 時も照れてる。

 咲に気はあるのか。



 子供達の部屋は同じだ。

 もしやと思い夜、子供達の部屋の前まで響と来てみると案の定、声が聞こえる。

 咲の声だ。

「ど、どうする?」

「私達も言えない立場なんだから仕方ない…」

 仕方ない。か…確かに…

「じゃ、部屋戻りましょうか」


 まあ、その後俺達も楽しんだ訳だが…



「響。兄妹って何なんだろうな」

 隣に寝転がっている彼女に言う。

「家族」

「そういう事じゃなくて」

「家族によって違うけど家族の中で一番親しく同世代の人。何より、家族以上の愛を持ってはいけない人。かな」

 響の言う通りだ。

 俺達は元々、お互いに嫌われていると思っていた。

 でも、俺はシスコンで響はブラコンだったんだ。

 お互いにお互いの、事が大好きだったんだ。

「響!大好き!」

 俺は響に抱きつく。

「えっ。何?」

「単純に大好きだよ。って」

 響はフフッと笑うと俺を抱きしめた。

「私も大好きだよ。いや、私達も。子供達も皆、悟の事が好きなんだよ」

「それは響もだな」

 ……

 沈黙が続く。

 しかし、沈黙はいつか破られる。

「「大好きだよ。響」悟」

 この愛で。


 これは実らないと思っていた二人の兄妹のお話。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【祝900pv感謝!】シスコンの俺とブラコンの妹 秋潟北斗 @akikata

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ