第24話 12月24日 金曜日 16時
一年で一番人が集いがちな日の夕方に独りになるのも妙だ。二度と歩かない道なので、ゆっくり歩いてみた。それでも、慣れているからかあっという間に駅。
プラット・フォームで、今までのことを思い出してみる。初めて見た無人駅、あだ名、物まね、謡。
ここまで思い出した時、誰かの声に気付いた。
「お〜ぃ、ノンキ!」
ノンキと呼ばれて、慌てて振り向く。鼻の高い人が手を振っている。夢中で振り返す。
「今まで、ごめんな。有り難う!」
間違いない、ピノさんだ。何か言わなくては。
「どういたしまして、気にしていません!」
もうすぐ、電車が来る。ピノさんはもう一声
「ノンキ、元気でなぁ!」
と叫んだ。電車に乗りながら答える。
「ピノさんも、皆さんも、お元気で〜」
最後の方は、聞こえたか分からない。でも、述希は聖夜直前に最良の贈り物を耳にした。
完
ノンキ、元気でな! 新橋 @nifu-212
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