病気が知れて、私は幸せです。
30代に入ってすぐ、私は障害者になった。
手帳も障害年金も取得した。どちらも2級。等級はずっと変わっていない。
うーん、なんていうか。こうやって書くと「私はすごーく不幸なんです、かわいそうな社会の被害者なんです」みたいなニュアンスが漂うな。
本人は一向にそんなつもりはなくて、手帳も年金も「よっしゃあ、社会保障ゲットじゃあ!安定収入で心潤うぅぅ!」みたいな感じだ。――あ、年金は最初抵抗あったけど。だって自分で稼いだ金じゃないと、使っても味気ないじゃん。
多分、私については世間が思うのとは逆で、病名が確定した後の方が幸せである。結論から言うと、やっと医療に繋がれたから。
子供の頃から、身体の重さや見下されている恐怖に苦しんでいた。どこか病的だと思いながら、みんなこの思いに耐えて生きているんだと信じ込んでいた。
変な話、病院で「その症状は病気ですよ」と言われたから、私は救われたのだ。薬を飲んで冷静になれたし、何より体も楽に動くようになったのだ。
少し普通に近づいた私は、いろんなことに挑戦するようになった。もともとは闊達で好奇心の強い性格だったらしく、興味が湧いたらすぐ飛びついた。
どうやら自分が創作活動が好きらしいと気づいたのも、正しい病名が分かってから。
あの頃はそこそこに躁だったらしく、何日も徹夜して小説を書き続けた。喜怒哀楽が乏しかった私の中に、喜びが大量にあふれていた。文章だけじゃなく、アクセサリー作りも評判が良かった。勇気がなかったから売ることはしなかったけど、それでも世界に一つを作ることが楽しすぎた。
双極性障害は波がある。
躁の次には鬱がくる。今がまさしくそう。
だけど薬はちゃんと効いているし、自分の病気のことも分かっている。何をすることが好きなのかも、いつかこの辛さが終わることも、ちゃんとわかっている。
だから挑戦し続けている。今の目標は、システムエンジニアとして独り立ちすること。そして仕事の仕方や考え方も含めて、後進の人たちを教える立場に立つこと。
知らないこと、理解できないことは非常な不幸だ。
知っていること、理解できることは大変な幸福だ。
私を見てかわいそうと思ってる人がいたら、あなたは私の何も知らないのねと私は笑うだろう。
私は実に幸せなんです。病気だと分かったからこそ、たくさん努力ができました。国の力も借りられました。
だから私は、この病名を誇ります。『明るい双極性障害さん』として。
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