患者ノ心得

 私は相当に医者と話す。

 それは彼の通院に付き添った時も同様で、今では医者が最初っから私に向かって質問をしてくるくらいである。20分話しっぱなしな時もある。


 これはADHD特有のサービス精神もあるだろうが、内科であれ外科であれ、最初に手掛かりにするのは患者の声だ。精神科に至っては、会話しかない。

 話の内容が細かいほど、医者は推理がしやすい。だから、自分がこの科にかかろうと思った原因だけでなく、他の不調も家族の病歴も、思い当たるだけ全部言っておくのがいい。


 私はネットでもよく情報を探す。その場合は、3つのジャンルを廻る事が多い。

 1つ目、病院が出しているコラム。ホームページに、病気についてのコラムや解説を載せている病院は案外多い。これを2、3件読んで比較検討する。コラムを書く人間の私観が少なく、論文の裏打ちがあるものほどいい。

 2つ目、自分と同じ病気や症状を持つ人々のブログやSNS。薬の副作用の実際の感覚や、断薬時に起きた不調などは医者も製薬会社も把握していない場合がある。

 3つ目、製薬会社やお薬サイトの情報。副作用のざっくりした内容、医者が言わない禁忌など、より薬を効果的に使う方法が分かる。


 最近は、これにプラスして医学生向けのYouTube動画を見ている。大学で実際に教えている先生が、教材としてお作りになった動画だ。登校主は「一般の人には難しいですよ」と言っていたが、こちらもプロの患者である。正直言って、めっちゃ理解できるし一番勉強になっている。


 ただしこれが一番重要だが、「情報はどれも確かではない』という事実を理解しているかだ。

 精神科の研究は、正直ほとんど進歩していない。双極性障害ではメジャーな薬『炭酸リチウム』だって、どうして効果があるのか何十年も謎のままなのだ。

 医者の言葉もいつ覆るか分からない、薬もいつ効果なしと発表されるか分からない。

 だから『〇〇障害が治る方法』なんてのを安易に検索し、頑なに続けるのは意味がない。厳然な研究を絶対とする西洋医学が不確かなのに、民間療法に効果が出るわけがないのだ。


 すべて理解し、飲み込んだうえで治療を選択すること。

 それが、私という患者の病気との戦い方であり、心得だ。

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