第4話

最寄り駅につくと先に立ってる女の子がいる。

僕の浮気相手だ。

「早かったじゃん」

そう言うとさっそく腕を組み始める。

この子の方が成実より積極的だ。

それもそのはず。そもそもの始まりはこの子からアピールを受けて付き合っているのだから。

「そーいえば慧は、、」

「ねえ、名前は外では呼ばない約束だよ」

こーいう関係になると決めた時にした約束。

たまに忘れるんだよな。

「ごめんごめん。ころ君。」

ころ君はどこかのゆるキャラに僕が似てたからつけたあだ名。

浮気するならこのくらい徹底しないと。

「ころ君は最近彼女と会ってる?」

ド直球な質問。

まあ最近というかさっきまで会ってたけど。

それを素直に言うと怒る。くせに聞いてくる。

この子のそういうとこだけめんどくさい。

「どうだろ。いつ会ったかな。」

うまい具合にはぐらかすしか方法がない。

浮気相手ってポジションだけど縛りみたいなものがある。それが嫌なとこでありいいとこでもある。

背徳感ってやつ。

「ふーん。そっか。」

不満なのか満悦なのか分からないその表情。

何度も見てその度に自分の言葉の答え合わせ。

本当にゲームみたいだ。

「じゃあさ、今度の旅行は行ける?」

「それは行く。箱根だよね?」

今日会う気になったのもその旅行の話をしたいから。

つくづく自分が最低だなって自覚してるよ。

「ピロン!」

また携帯が鳴った。

今日はずっと忙しいままだな。

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影を落とす どぅーさん @dosan0908

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