第3話

あたりは夕日が差し始めている。

気づいたら17時を回ってるのだから当然と言えば当然だ。

結局あのあと1時間だけのつもりが2時間も延長して堪能した。

恥ずかしながら僕もしっかり満足だ。

楽しいんだよなあ、、成実といると。

「本当に?」

思ってただけのつもりが口に出ていたみたいだ。

というか思ってただけなんて普通はない。

考えようとして頭の中で文章を組み立てることはあっても感じたことを心の中だけで言語化するなんてことは滅多にない。自然と口から出るものだ。

「ご飯どうする?まだ食べない?」

そうだなあ、、

「まだ流石に早くない?もう少しぶらぶらしてからでもいいんじゃないかな?」

正直コーヒーの飲みすぎで頭がふわふわする。

食事って気分じゃない。

「もしかしてご飯って気分じゃない?」

「、、え?」

また口に出てたかと思って少し動揺する。

「何となくトーンが乗り気じゃない時のトーンな気がしてさ。少しぶらぶらしてご飯食べずに帰る?」

良かった。今回は出てなかったみたい。

にしてもそこを察する力は流石だ。

もう言わなくても少しの仕草や声の感じで見抜かれてしまう。

「ねえってば。どうする?」

もうお手上げだな。

「ごめん。そうしてもいい?」

成実には悪いけど乗り気じゃないことをしても心から笑顔にさせてあげられないと思う。

「んーんいいよ。慧は最近本当に忙しそうだもんね。もう今日は帰ろっか。」

そう言ってスマホを取り出すと「お母さんに連絡だけするね」と言ってメッセージを送っていた。

その間に僕も連絡してしまおう。そう思ってスマホを取り出して数件のメッセージの確認をするとそのうちの1人にメッセージを送った。

《今日、ご飯だけなら会えるよ。》

僕はただの最低男だ。

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