第601話 担当
「助かったよ」
「今のお兄ちゃんに聞きたいことは多いですが、とりあえず無事で良かったです」
ソフィの他にもシャナ、エリーラ、ブロス、キャリナ、リュウが居る。さらに、エルフの女王と側近であるエミリー、ティア、ジュディーや獣人最強と呼ばれるウカクを始めとする獣人王の護衛の精鋭部隊、そして魔人の王であるブリジアと側近4名も居る。
ちなみに、ドワーフからは人材の代わりに優秀な防具と武器を貰ったそうだ。
「敵の数と種類は?」
「龍と龍魔族、リヴァイアサンとリヴァイアサン魔族、ベヒモス魔族、その3体を合わせた魔物とその魔族、それとヒュドラだ」
俺はシャナの質問に簡潔に答えた。
「ヒュドラ魔族は殺したのか?」
「ああ」
リュウの問いにそう答えると、リュウは目を見開いて驚いていた。敵陣で魔族を倒すと思っていなかったのだろう。
「では、当初とほぼ変更はなく、龍を獣人達、龍魔族をリュウ、リヴァイアサンをエルフ達、リヴァイアサン魔族をシャナとエリーラ、ベヒモス魔族をブロスとキャリナ、合成魔物とヒュドラを魔人達、合成魔族を私が殺ります。お兄ちゃんはイムをお願いします」
ソフィがどの敵を誰が相手をするかを言った。一応ここに来る前から決めていたようだな。
「えっと…ソフィはムートで大丈夫か?」
「ムート?」
「あ、3体を合わせた謎魔族の事ね」
正直、他にも大丈夫かと心配したいところは多い。特に自分の完全上位互換とも言えるの魔族を相手にするリュウや2体の魔物を担当している魔人とかな。だが、1番心配なのはあのムートを相手するソフィだ。ムートは正直、この中では1人だけ郡を抜いて強い。それなのに、俺がさらに強化したような感じだ。
「私の心配をしてくれるのはとても嬉しいですが、その心配は無用です。お兄ちゃんはイムを殺すことだけを考えてください」
「…危なくなったらすぐに呼んでくれ」
「分かりましたよ」
ソフィにこれ以上言っても意味が無い気がするので、もしもの時に助けを呼ぶようにお願いするだけにした。
「…私に変わってイムを殺してくれ!」
「ああ」
リュウは悔しそうな顔でそう言った。本当なら仲間を大量に殺したリュウを自分が仇を打ちたいのだろう。しかし、それが適わないから俺に託してくれるのだろう。
「来たか」
なんて会話をしていると、イムが呼んだ魔族と魔物が勢揃いした。
「ムートが呼んだのか?」
「そうだぜ。バハムートって言うんだぜ」
謎魔物の名前はバハムートというらしい。それをとってムートと名付けたのか。
ちなみに、バハムートはムートを巨大にした感じで、竜をスタイリッシュにして二足歩行にした感じだ。まあ、ところどころベヒモスやリヴァイアサン要素も混じっているようにも見えるけどな。
しかし、もしかするとバハムートは他の魔族よりも強いかもしれないな。
「ダーリン、ここで乱戦にする?それともそれぞれに別れて個人で戦う?」
イムがそう質問してきた。
「個人で戦おう」
「わかったよ」
イムは俺の提案に素直に了承した。俺達からしてもイムからしても乱戦は望んでいないのだろう。魔族だけならいいが、近くで大きな魔物が暴れたら戦いぐらいからな。
「じゃあ、はい」
イムがそう言って指をパチンっ!と鳴らすとバハムートとムートを除く魔族と魔物が消えた。
「あっちに龍が居て、あっちに…」
そして、イムは誰をどこに転移させたかを説明し始めた。
「合ってますね」
その説明はソフィ曰く、合っていたそうだ。イムなら嘘を言っている可能性もあったが、そうではないようだ。
「行ってくるぜ」
「ああ、よろしくな」
「任せろ!ゼロスはイムを殺ることだけを考えてな!」
ブロスがそう言うと、担当する敵の場所に向かった。
「じゃあ、バハムートは…」
「バハムートはヒュドラと同じところに向かわせてくれないか?」
「いいぜ」
ムートは素直にそう言ってバハムートをヒュドラと同じ場所に移動させてくれた。
「それで俺の相手はその女でいいのか?」
「不満ですか?」
この場に残っているのは俺とソフィ、イムとムートだけだ。それでムートは自分の相手はソフィがすると察したようだ。
「ゼロスの次となると誰が相手でも不満になるぜ」
「お兄ちゃんに手も足も出なかった分際でよく吠えますね」
ソフィの喧嘩を売るような発言でムートの目はつり上がった。
「いいぜ女。お前をさっさと殺してゼロスとまた遊び行くぜ」
「妄想を口にするのことくらいは許しますよ」
「…着いてこい」
ムートがソフィを先導してどこかに移動した。
そして、この場に残ったのは俺とイムだけになった。
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