第578話 兄貴分
「悪魔化、悪魔憑き、神雷ダブルハーフエンチャント、雷電ダブルエンチャント、神雷纏」
俺は雷を避けて、悪魔達が次の魔法を警戒している間に強化を行った。そして、向かってくる悪魔から逃げた。
「どうしようかな…」
さすがに50人近くの悪魔をソフィのように戦うのは無理だと思う。どうやって戦えばシャナのためになるのだろうか?
「あっ」
なんて考えていると、いつの間にか横に来て攻撃してきた悪魔の拳を剣で叩き落としてしまった。
「しまった!俺の縮地の能力が!」
俺は悪魔キラーとも言える能力を持つブロスを悪魔憑きしている。そのため、悪魔を1度攻撃すれば能力を封じることができる。だが、これではシャナの役には立たない。今回は縮地という悪魔が居なくても頑張ればできそうな要らないであろう能力だったからよかったけど…。
「…ん?」
俺は縮地の悪魔を蹴り飛ばした時に少し思った。能力を封じたら悪魔はこいつのように口に出すかは別として、自分の何の能力が封じられたと考えるだろう。心の読めるシャナなら最低限それぐらい分かればいいのでは無いか?もし、その時に封じた能力が気になるようだったら、シャナに何らかの合図を…
「おっ」
なんて考えていると、シャナが魔力を魔法を使う時のように練った。チラッとシャナを見ると、こくっと小さく頷いた。今のが合図ということだろう。その合図があったら封じた能力を解放しよう。
「よっしゃ!来いや!」
俺が反撃できるようになってからは一気に悪魔は数を減らして行った。
「俺の刺撃能力が…!!」
「私のダメージ蓄積がっ!」
「俺様の転ばなくなる能力が!!」
何か能力を封じる度に悪魔が叫ぶからシャナが心を読めなくても関係ない気がしてきた。能力は他人に知られない方がいいんじゃないのか?それにしてもかなりの雑魚い能力のやつが居たな。
「で、残ったのは3人か…」
そして、残っているのが3人になった。戦闘狂とは言ってもピンキリで魔法も使って手強い者も居れば、あまり強くない者もいた。ただ、50にも乱戦のため、同士討ちが多くて助かった場面も多かった。
「王の首は俺が!」
「いや!俺が!」
何て叫びながら2人の悪魔が向かってきた。しかし、俺の元までたどり着かなかった。
「ごはっ…」
「がはっ…」
その理由はもう1人の悪魔に腹パンで沈められたからだ。
「やっと2人になった」
その悪魔は多分俺に一度も攻撃していない気がする。発言からして、1人だけ残るのを待っていたのだろう。
「いざ、参る」
最後の1人の悪魔はそう言うと、俺に向かって駆け出した。そして、俺の間合いに入る2歩前で右手を左の腰に添えた。
「しっ…!」
そして、突然から現れた長い炎の刀を振ってきた。俺はそれを剣で弾こうとしたが、危機高速感知が反応し続けていたので、咄嗟に仰け反って避けた。
「弟分が世話になっているらしいな」
「まじかよ…」
そう言って全身に炎を纏ったその姿を見て俺はこの能力がわかった。これはシャーニが契約している雷の悪魔の炎バージョンだ。しかも、雷の兄貴分なのか、雷よりも出せる出力は遥かに多い。
「絶対戦闘狂じゃないだろ…」
「ああ。今回は弟分が世話になっている者と戦えると聞いて修行を切り上げてやってきたのだ」
こんな戦闘狂がいたらブロスが絶対に最初から三魔のように特別視するわけだからな。
「弟分を預けるに相応しいか確かめよう!」
「おわっ!」
そう言うと、いつの間にか槍に変えていた炎を突き出してきた。俺は慌てて体をくの字に曲げて避けた。
この炎は雷と同じ性能だとしたら触れるだけで全身に燃え上がるだろう。下手に攻撃を受ける訳にもいかない。
「バースト!」
俺は剣先を炎悪魔に向けてそこから雷の光線を発射した。
「なっ!」
しかし、それは炎に飲み込まれる形で消滅してしまった。
「やばいな…」
物理攻撃は駄目、魔法攻撃は正面からでは効果が無い。どうしようか…
『ピコーン!』
『悪魔化Lv.9が悪魔化Lv.MAXになりました』
『条件を満たしました。精霊化Lv.MAX、獣化Lv.MAX、悪魔化Lv.MAXが派生し、天使化を取得しました』
『【称号】神の器 を獲得しました』
なんてことを考えていると、悪魔化のレベルが上がり、新しくレベルの無いスキルと称号が現れた。
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