第577話 戦い方

「…随分増えたな」


シャナのせいか俺達と戦う悪魔が合計で100ほど集まった。


「それじゃ、戦いたい人の前に並んで」


シャナがそう言うと、俺とソフィとシャナの前に綺麗に1列で並んだ。


「比率は4:1:2ってところか?」


数えてみると、俺に63人、ソフィに17人、シャナに32人で計112人が集まっていた。


「それじゃあまず、人数が少ない順でソフィから戦うから準備して」


シャナがそう言うと、ソフィと戦う以外の悪魔達は林の方に入っていった。


「…強くもない戦闘狂以外も集まって来たから失敗した」


「え?」


俺とシャナも下がっていたらシャナがそう言った。詳しく聞くと、俺に集まってきた者は戦闘狂と戦って弱ったところで美味しいとこ取りで王に勝てるかもと考えた者が集まったそうだ。ちなみに、これはソフィやシャナの相手にも似たようなのが一定数居るようだ。心を読んでガッカリしたらしい。


「でもゼロなら悪魔が何人集まろうが関係ない」


「まあ、そうだな」


なんて会話をしていると、ソフィの戦いが始まりそうだ。ソフィの戦いの審判的ポディションは俺なので俺はソフィと悪魔達から一定の距離を取って立った。


「悪魔達対ソフィのバトルロイヤルを始め!」


「悪魔化、悪魔憑き」


ソフィはその2つをして、速攻とばかりに広範囲の魔法を転移させた。


「うぎゃぁー!!」

「おわぁー!!」


それに反応できなかった数人の悪魔はその時点で戦闘不能になった。ソフィは今の魔法で弱い者を篩で落としたようだ。


「時ダブルハーフエンチャント」


ソフィはエンチャントを行い、残った悪魔と戦い始めた。



「…これは俺も真似した方がいいかな?」


ソフィの戦い方は普段と違っていた。普段は魔法を駆使して一方的に相手を殲滅するイメージだったが、今回は相手の技を何度も防いで戦ってる。最初は何をしたいか分からなかったが、何人か倒した時にやっていたことがわかった。ソフィは相手の悪魔の能力を引き出させて把握してから倒している。それはシャナにどんな能力持つ悪魔なのか分かってもらうためだろう。これを相手が50以上の俺がやるのは少し大変だぞ…。




「おっと…バトルロイヤル終了!」


なんて事を考えていたら立っているのはソフィだけになった。ソフィは上手く立ち回り、同時に複数人を相手にしないようにしていたな。俺もそれを真似…は無理だと思うが、参考にしよう。



「ソフィ、おつかれ」


「ありがとうございます。お兄ちゃんは私の戦い方を参考にしないでさっさと終わらせてくださいね」


あらら。ソフィに戦い方の心配をさせてしまった。そして、やっぱりソフィの戦い方は故意でやったやつだったのか。


「バトルロイヤル後すぐで悪いけど、審判よろしく」


「分かりました」


次にソフィが審判をするシャナのバトルロイヤルが始まった。シャナは俺と戦った時のように主に三魔の能力中心に戦っていた。ただ、ある程度能力を見てからバリアと鱗粉を当時に使って悪魔をほぼ全て倒した。ただ、防御力半分のバリアは複数の悪魔から攻撃されたことにより、1度だけ割れた。とは言ってもシャナはそれを予想していたかのように鎖鎌ですぐに対処した。



「バトルロイヤル終了!」


シャナの急激なパワーアップが凄い。これは悪魔界から出たとしてもシャナに勝てるか怪しくなってきたぞ。


「じゃあ、ゼロも頑張って」


「おう」


そして、とうとう俺の番がやってきた。


「ん?」


何か俺の相手は強そうなのが多い気がするが、気のせいか?


『戦闘狂にとって王という肩書きはそれだけで倒すべき象徴となるのだ』


「まじか…」


つまり、ソフィとシャナには戦闘狂は数人単位でしか居なかったってことか?実際に俺に話しかけてきたやつなんてもう覚えてないし、考えても無駄だろう。


「バトルロイヤル開始」


なんてことを考えていると、シャナからそんな声がかかった。ここはソフィと同じように篩をかけるか。


「ドン!」


俺がそう唱えると、悪魔達の居る場所から雷の柱が生えた。



「…篩は意味あったのか?」


俺の篩で倒れたのは10人といったところだった。別に篩を粗くした訳じゃないんだけどな。いつもどれだけ精霊魔法に助けられているかがよく分かるな。これはちょっとソフィのようにやるのは無理かもしれないな。



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