第575話 さらっと変更
「どの悪魔とも契約してないようですが、それも何か関係あるのですか?」
「ん。契約すると悪魔を複数入れられない」
シャナは契約していなく、魂に空きがあるから複数の悪魔を身体に押しこめることができるらしい。
「それでシャナはここから帰るのですか?」
そう問題はそこだ。というか、それが俺とソフィがここに来た目的だ。俺やソフィは契約している悪魔を通して悪魔使いで悪魔界にやってきた。しかし、契約している悪魔が居ないシャナにはそれができない。
「ちょっと待って」
シャナはそう言うと目を閉じて固まった。きっと帰れるか試しているのだろう。少し経つとシャナの足元には祠で見たような黒い魔法陣が浮かび上がった。
「ん。帰れそう」
シャナはその魔法陣を消して、目を開いてそう答える。俺とソフィとは違う方法だが、帰れるようでよかった。
「次はあれを対処する」
シャナはそう言って周りの林に目を向ける。そこには俺達の戦闘で集まってきた戦闘狂達が集まっていた。
「あ、ソフィ、魔法を上に放って」
「分かりました」
俺は忘れていたシャナが見つかった合図をソフィにやってもらった。合図を忘れて帰ったら後で面倒なことになるからな。
「この3人の誰かと戦いたい悪魔は集まって」
シャナがそう言うと、ぞろぞろと俺達を取り囲むように集まってきた。
「今の合図を見て駆け付ける悪魔を待つために戦いは明日の昼前に始める。それまでにこの3人の誰とバトルロイヤルするか考えておいて。それと、これから来る悪魔にもそれを伝えておいて」
シャナがそう言うと、悪魔達は皆頷いた。いつの間にか俺が全員と同時に戦う形式から、俺達の誰かと戦う形式に変わっていた。
「一応自己アピールをする。私は複数の悪魔を同時に使う稀有な存在。ついでにこの三魔も使う」
シャナはそう言ってブロスが話していたトップクラスに強い3人の悪魔を横につかせて紹介した。ちなみに、シャナはその3人のことを三魔と名付けていた。
「私は悪魔王の妹とそのメイドと契約しています。そして、最近悪魔界を荒らし回っていたのは私です」
ソフィは2人の悪魔を出しながらそう自己アピールをした。それを見て何人かの悪魔が目を開いて驚いていた。
「最後に俺は悪魔王と契約している」
俺はそう言いながらブロスを出す。何か俺の自己アピールが3人の中で一番短かったな。まあ、これぐらいしか言うことがないから仕方がない。
「ここには居ない戦闘狂や強い悪魔が居たら明日までに誘っておくこと。以上、解散」
シャナがそう言った瞬間にソフィがシャナのことを睨んだが、すぐに目を逸らしてため息を吐いた。
そして、シャナが解散と言った瞬間に囲んでいた悪魔達は居なくなった。本当にシャナの言うことは素直に聞くのな。
「…シャナの戦力アップに私とお兄ちゃんを利用しないでください」
「これが一番効率がいい」
「ん?」
俺だけ2人の会話に付いていけてない。それを察してかソフィが詳しく話してくれた。
「シャナが新しく強い悪魔を手に入れるためにはこの方法が1番効率がいいでしょうね」
「ああ、なるほどな」
そこで初めて意味が分かった。シャナが追加で悪魔を呼ぶように言ったのはシャナが使いたい能力を持つ悪魔を探すためか。
「制御できる数には限界があるのですからあまり無理をしないようにしてください」
「…バレてた」
「え?」
どうやらシャナには同時に入れ替えて使える悪魔の数には制限があるそうだ。確かに無制限なら全ての悪魔を説得すればいいだけだからな。
「新たにやってくる者は先の戦いを見ていないので十中八九お兄ちゃんを選びますよ。そのことについて申し訳はありますか?」
「無い。ゼロに貸一をプレゼント。何でも言うこと聞くよ?」
「何かあった時のために取っておくよ」
上目遣いの何でも言うことを聞くという発言はドキッとしたが、ソフィの睨みが怖かったので即答で後回しにした。もちろん、ソフィが居なくても少し考えた後に後回しにしただろう。ソフィにも昔勝負で勝ったときに何でも言うこと聞く券を貰っているが、未だに使っていないな。はたして使い道はあるのだろうか…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます