第567話 探す方法
「それはシャナの場所は分からないの?」
「すみません。お兄ちゃんの居場所しか分かりません」
どうやら居場所が分かるのは俺の場所だけなのか。1人だけの居場所が分かるってそれは一体どんなスキルなんだ…。
「とりあえずソフィと合流できただけでありがたいよ」
ソフィに合流できただけでもかなり助かった。迷子が増えるだけにならなくて良かった。
「どうやってシャナの居場所を探そうか?」
「それについては考えがあります。ブロスを戻して着いてきてください」
ソフィはそう言うと、普通に歩いて行った。俺はソフィにおいて行かれないようにブロスを自分の中に戻して着いて行った。
「どこに向かってるの?」
「分かりません」
ソフィ自体どこに向かっているのか分からないらしい。それで大丈夫なのだろうか?
「何でこんなとこに人間がいんだ?」
「お?」
歩いて数分で目の前に悪魔が現れた。その悪魔は上半身裸の男のような姿だったが、頭だけは鳥のようだった。
「魔法転移」
ソフィがそう言いながら指をパチンッと鳴らすと、その悪魔の周りに魔法の槍の先端が取り囲んだ。
「っ!ま、まさか…メイド王様の悪魔と契約して最近暴れているっていう人間はてめぇうがっ…!」
ソフィは悪魔の発言を遮るように太ももに氷の槍を突き刺した。
「私達と同じような人間をどこかで見ませんでしたか?」
「何で俺様がてめぇら何かにそんなことを教えなきゃががっ!」
ソフィは次に肩と脇腹に炎と風の槍を突き刺した。
「串刺しになりたくなかったら素直に質問に答えた方がいいですよ」
「見てない!知らない!」
ソフィが光の槍を悪魔の胸に少しずつ刺しながらそう忠告すると、悪魔はすぐに答えた。
「それは本当ですか?」
「ほ、本当だ!」
しかし、ソフィは光の槍を止めずに本当か確認した。もう少し刺さっているのか、悪魔は慌ててそう答えた。
「分かりました」
「はあ…はあ…」
ソフィはそう言うと、悪魔を取り囲んでいる槍を解除した。それで緊張が解けたのか悪魔は崩れ落ちるように膝と手を着いた。
「もし何か分かったら教えてくださいね」
「あ、ああ…」
悪魔は完全に心を折られたのか、力なくそう答えた。
「では、お兄ちゃん行きましょうか」
「あ、うん」
その悪魔を無視して進むソフィに俺は着いて行った。
「もしかして方法って…」
「見かけた悪魔を脅して情報を貰いましょう。これならいずれはシャナに辿り着くでしょう」
ソフィの方法とは悪魔を脅してシャナに関する情報を貰うことだった。ソフィ曰く、悪魔は脅しでもしないと正しい情報を言わないらしい。
「ソフィの方がよっぽど悪魔みたいだよ。まあ、何も分からない現状ならその方法が1番かもね」
「ありがとうございます」
俺はソフィを軽く皮肉りながらも、ソフィの方法に賛成した。ソフィのやり方が1番効率が良さそうだからな。
「でも、ブロスを出しとけば脅す必要も無いんじゃない?」
「小心者はブロスが居たら寄ってきません。まあ、ある程度力を持った者なら好き好んで寄ってくるかも知れませんか、そんな者と戦っていたら時間が勿体ないです」
確かにダメージを与えた相手の能力を封じるという1つの特殊能力で戦う悪魔界ではチートなブロスは普通なら避けられるだろう。だが、逆に好戦的な悪魔は最強という座を求めて向かってきそうだ。好戦的な悪魔は大体強い者が多いと思うから脅すこと自体難しいしな。
「お兄ちゃんも次は脅してみますか?」
「うーん…」
妹にだけ脅すのをやらせるというのは兄としてはダメだと思うが、だからといって脅す経験の無い俺が上手く脅せるとは思えない。あれ?何でソフィはこんな脅し慣れているのだろうか?それにさっきの悪魔が言っていた最近暴れているっていうのはソフィだと思うが、何をしていたのだろうか?でもシャナが召喚した悪魔がブロスよりもメイド王様と驚いていた理由が少し分かったな。
「あ、次が居ましたね。では、お兄ちゃんが慣れるまで私がやりますね」
「お願いするよ」
ソフィは次に喧嘩を売ってきた悪魔もさっきの悪魔と同じように脅した。しかし、その悪魔も何も知っていなかった。
俺はブロスを使って効率よく脅せたり、情報を取ってきたりできないかを考えながら2人で先を進んだ。
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