第564話 祠

「やっと悪魔使いを取得できたよ」


「おめでとうございます」


「ありがとう」


俺は悪魔使いを取得したのをソフィとシャナに伝えた。シャナの反応が少し違う気がするのは気のせいかな?


「1ヶ月も待たせて悪かったな」


「全然大丈夫」


シャナには1ヶ月も待たせてしまった。寝る時以外のほとんどの時間を悪魔憑きと悪魔化して過ごしていたが、戦闘中以外で経験値が入る量は少ないのか思っていたよりも時間がかかってしまった。ただしているだけの状態ではあまり意味が無いのか。


「じゃあ、このことをブリジアとドレリアにも伝えに行ってくる」


「私も行きます」


「私も」


俺が2人に伝えてくると言うと、2人も着いてきた。まあ、シャナは俺が悪魔使いを取得してから行える悪魔の召喚の完全に当事者だし、ソフィも何かあった時のために俺と待機する訳だから当事者になるだろう。だから2人にも関係する話であるわけなので、着いて来たがるのは当然かもな。



「ちなみに、悪魔化もレベルアップしましたか?」


「いや、悪魔化はまだだな」


2人の元に向かっている途中にソフィからの質問に答えた。悪魔憑きは悪魔使いへと進化したが、まだ悪魔化は進化していない。悪魔化が進化したら条件を満たせるような気がするんだけどな。と言うか、それ以外に条件が思いつかない。


「ソフィは悪魔化もレベルMAXになってるんだよね?」


「そうですよ」


ソフィは悪魔使いをとっくに取得していたのだから悪魔化のレベルがMAXになっていても全く疑問に思わない。


「ソフィのことだから悪魔化が進化してそうだな」


「どうでしょうね」


ソフィははぐらかすようにそう答えた。ソフィなら本当に進化していそうな気もする。


「………」


実際はどうなのかを探ろうと横目でソフィの方を見たが、目が合ってニコッと可愛い笑顔を返されるだけで何も分からなかった。



「お、ブリジアとドレリアが居たな」


俺達は2人をすんなり見つけることができた。そもそも村自体がそこまで大きくないので、見つけるのは簡単だ。しかも、魔力量が多いので、ある程度近くまで来たら場所は分かる。


「ん?3人揃って何じゃ?」


「何?」


俺は2人に悪魔使いを取得したことをさらっと話した。


「そんなさも当たり前みたいに取得するのはどうかと思うのじゃ…」


「他の側近が聞いたら泣くな」


もうそれなりに前からレベル9になっていたので、時間の問題だったのだから簡単な報告にもなるだろう。


「それでいつ悪魔を召喚するんだ?」


「今から」


「そう言うと思ったのじゃ…。着いて来るのじゃ」


シャナならそう言うと思っていたのか、ブリジアはそう言うと、ブリジア達は村から出て俺達が戦った舞台とは反対方向へ歩き出した。数分歩くと、少し開けた場所に出た。


「ここは祠か?」


「そんなもんじゃ」


そこには高さは5m程で広さは人2、3人がが大の字で寝れるかどうかというくらいの大きさの祠がポツンと一つだけあった。


「説明することはほとんどないからやりながら説明するのじゃ」


ブリジアはそう言いながら祠に近付いてその扉を開けた。祠の中には何も無く、ただ床には赤黒い文字で魔法陣のようなものが書かれていた。


「この字は血で書きましたか?」


「これを作った魔人の血だと言い伝えられてる。だからもし村から逃げる時でもこれだけは持って行けるようになってるんだよ」


確かにこのサイズの祠ならマジックリングの中にも入るだろう。


「この中に入るの?」


「違うのじゃ。まずは…」


ブリジアは石で出来た数段の階段を祠に設置するように取り出した。その階段にも赤黒い文字がびっしりと書いてあった。ただ少し違うのが最初の段に2つの丸があり、その中には何も書いて無いことだ。


「ここの丸に手を置いて魔力を注げば悪魔が現れるのじゃ。これは人生で1回しか使えないのじゃ。じゃからこれで出なかったら諦めるのじゃ」


「分かった」


シャナはそう言いながら階段の方に歩いて行った。

それにしても俺が精霊と契約した時のように魔法陣が使えるのは1度限りのようだ。ちなみに、魔人でその1度で契約できないことは全くと言っていいほどないらしい。


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