第560話 シャナの気持ち
「悪魔と契約するには魔人でないといけな…」
「それは無い」
ブリジアの発言を途中でぶった切ってシャナは否定した。
「ゼロは魔人になる前から悪魔王と契約してた」
「「っ!」」
シャナのその発言でブリジアとドレリアが揃って俺の方を見た。
「そ、それは本当なのか?」
「本当だよ。まあ、少し特殊な事情があったからだけどな」
ブリジアが驚いた様子で聞いてきた。まあ、あれは勇者の精霊、獣、悪魔の無理やり契約と酷使があったからそれを防ぐ為という名目があったからだけどな。とはいえ、俺が魔人を追加される前に契約していたことに変わりない。
「だから魔人じゃなくても契約できるのは保証されてる」
「とはいえじゃ…」
ブリジアが知る限り魔人以外が悪魔と契約したという事例は今日まで知らなかったらしい。だからシャナが契約するのには否定的らしい。
「私以外のみんなは精霊、獣、悪魔のどれかと契約してる。してないのは私だけ。私ももっと強くなりたい」
シャナは強い意志がこもったであろう力強い言葉でそう言った。
「何があってもあなた達の責任にしない。私の責任にする。だから協力して」
シャナはそう言いながら頭を深く下げた。これでもまだブリジア達は納得できないようだ。
「それに大丈夫」
シャナは頭を上げると続けて話した。
「もし何かあってもゼロとソフィが必ず何とかしてくれる」
シャナは俺とソフィの方を向いてニコッと少し微笑みながらそう言った。俺とソフィはそれを見て少し顔を合わせて小さなため息を吐いた。
「俺からもお願いするよ。何があってもブリジア達の責任にはしないし、俺とソフィで解決するから。それでいいよね、ソフィ?」
「そうですね。大事なシャナに何かあったら助けますよ。もちろん、お兄ちゃんの方を優先しますが」
「うん、ありがと」
シャナは嬉しそうにお礼を言った。いや、ソフィはシャナよりも俺を優先してるって言ったけど良かったのか?…まあ、本音を言ってるってことが嬉しかったのかな?
「2人がそう言うのなら分かったのじゃ…」
ブリジアは説得するのは無理と諦めたのか、そう言った。
「それでいつ契約するんだ?」
「今すぐ」
「おわっ!」
「いや、それは待った」
ドレリアの問にシャナは今すぐと答えたが、それを闇皓翠の中から出てきたブロスが止めた。急に出てくるなよ。びっくりするだろ。
「悪魔と契約するのは同志が悪魔使いを取得してからにした方が良い」
ブロスは続けてそうした方が良い理由を話した。
「我と同志が契約した時は我から同志に会いに行って契約した。悪魔とは魔人以外でもエルフと獣とドワーフ以外は契約できるが、今回は悪魔の方を呼び出すことになるのだ。悪魔は魔人以外と契約する時に相手をなめる傾向にある。だから何があるか分からない」
ブリジア達が魔人以外が悪魔と契約できると知らないのはそのためらしい。魔人以外とも契約できるが、することは珍しいらしい。
「我が居るから余っ程で無い限りは何も起きないだろう。だが、我を嫌っている悪魔も多いの事実た。だから用心はしておくべきだろう」
「分かった。契約はゼロが悪魔使いを取得してからにする」
シャナもブロスの話を聞いて、俺が悪魔使いを取得してから契約することになった。
「ソフィは悪魔使いを取得してる?」
「もちろんですよ」
ソフィは俺よりも遥かに早く悪魔と契約していた上に、2人の悪魔と契約しているから悪魔憑きのスキルレベルが上がるのが早かったらしい。だからとっくに悪魔使いを取得していたらしい。
「…当たり前のように悪魔使いを取得する前提で話しているのがそもそも規格外なのじゃ」
「そうだよな。他の奴らには聞かせられないな」
「え?」
2人曰く、悪魔使いを取得できれば側近以上の強さになれると言われているらしい。だから側近未満以下の者は一刻も早く悪魔使いを取得できるように努力を重ねているそうだ。ちなみに、魔人達で悪魔使いを取得しているのはブリジアとドレリアのみだという。だが、側近はあと少しで取得できそうといった感じらしい。
「よし!当分のやることは決まったな」
俺はシャナが悪魔と契約する時のために悪魔憑きのスキルレベルを上げて悪魔使いを取得できるように目指すぞ!
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