第550話 中途半端
「私の相手は天狗ですか」
ソフィの対戦相手は鼻が天狗のように伸びていて、剣を持ったアダマーという魔人だった。やはり、王は最後に出てくるようだ。
「勝負開始!」
審判がそう言うと、ソフィとアダマーは悪魔化と悪魔憑きを行った。さらに、アダマーは魔力纏を行ってから剣を抜いてソフトに向かって走り出した。
「ダークインフェルノ」
ソフィはそんなアダマーが近付く前に黒い炎を場内を埋め尽くす勢いで放った。アダマーはそれをジャンプして避けて、ソフィに近付いた。
「はあっ!」
「反射」
「うぐつ…!」
落下しながらソフィに攻撃しようとしたアダマーはソフィの反射によってぶっ飛ばされた。あれはもう反射と言うよりも衝撃波だよな。
「フリーズ」
そして、アダマーが地面に落ちる前にソフィはアダマーを凍らせるために魔法を放った。
「斬!」
しかし、その魔法が届く前にアダマーが剣を振ると、斬撃が放たれた。その斬撃はソフィの魔法と相殺する形となった。今の斬撃が悪魔の能力か?
ソフィは相殺されたのを見てサンダースピアを数本一気に放った。
「斬!」
アダマーは再び剣を振ったと思ったら小さな斬撃が複数現れてサンダースピアを相殺した。そして、残った斬撃がソフィの元にやってきた。
「反射」
しかし、それをソフィは反射で打ち消した。それと同時にソフィはアダマーに向かって駆け出した。
「斬!」
アダマーは近寄らせまいと斬撃を何度も放ったがそれをソフィは魔法によって相殺した。
「サイクロン!」
「魔法解除」
斬撃では効果が無いと思ったのか、アダマーは風魔法を放ってきたが、それもソフィの魔法解除によって消されてしまった。
「くっ…はあ!」
そんな攻防を続けていると、ソフィがアダマーの剣で届く範囲まで接近した。アダマーはソフィに向かって剣を振った。ソフィはアダマーに近寄って何がしたいのだろうか?
「ファイアボム」
「かはっ…!」
アダマーの剣が届く前にいきなりアダマーの腹にソフィの魔法が当たり、爆発した。アダマーは吹っ飛びながらも、すぐに体勢を立て直した。
「コキュートス、ファイアサン」
しかし、その頃にはソフィの魔法が2つ放たれていた。片方は場内を氷塊で埋め尽くす魔法で、もう1つは炎でできた巨大な塊を上から落とす魔法だ。どちらもすぐにアダマーに当たってしまうため、防げるのは片方だろう。
「はあ……斬っ!」
アダマーは剣を鞘に戻してから溜めるように構えて抜くと同時に大きく下から上へと振った。すると今までよりも巨大な斬撃が放たれた。それはソフィの2つの魔法を消し去った。斬撃の大きさで相殺できる魔法も増えるのか?しかし、その斬撃を生み出すための予備動作があまりにも遅かった。
「くっ…」
斬撃を放った頃にはソフィの魔法がアダマーを取り囲むように刺さっていた。刺さっていたのは槍のような形状だが、所々に丸い球が付いた変な形のものだった。ソフィはアダマーの前で同じのを作り出して爆発させて見せた。今の魔法はスピア系の魔法とボム系の魔法を合わせて作った新しい魔法か。
「参った」
それを見てアダマーは降参をした。降参をしたことで周りにある魔法は解かれ、アダマーは場外へと歩いて行った。
「使った悪魔の能力は1つだよな?」
「傍から見たら1つに見えるよね」
ソフィが何故わざわざアダマーに近付くのか疑問だったが、それは魔法転移を悟らせないためだろう。遠くから転移させたら1発でバレるだろうが、近付くことで転移させたと思わせないようにしたのだろう。
「しかし、アダマーの悪魔は少し中途半端な能力だったな」
「詳しい能力を聞けばそう思わないかもしれないけどな」
アダマーと契約している悪魔の能力は魔法を相殺できる斬撃を放てる能力だろう。しかし、魔法を斬り消すでは無く、相殺するというのが少し弱い気がする。相殺するかしないかを選べたり、魔法を消した後も斬撃が残っていたらさらに強くなるんだけどな。
「まさか余まで順番が回ってくるとは思わなかったのじゃ」
王はそう言いながら場内へとやってきた。
「もう1人残っておるし、悪魔の能力は使わなずに勝つとするのじゃ」
「負ける前に使うことをおすすめしますよ」
王の発言に少し苛立ちを覚えた様子でソフィは返答していた。
「なら負けるかもと思ったら使わせてもらうのじゃ」
「そう思った頃には負けてないといいですね」
お互いが挑発し合う一触即発の空気が2人の中で漂っていた。そんな2人の近くにいる審判が少し不憫思える。
「しょ、勝負開始!」
そんな空気の中で、王とソフィの勝負が始まった。ソフィが負けたら次は俺が王と戦うのだからこの勝負はよく見ておかないとな。
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