第422話 特訓内容
「精霊ジール降臨」
精霊ジール降臨をしながら少し疑問に思うことがあった。それは、「ジールとの精霊魔法は雷系スキルに分類されるのか」ということだ。ジールは雷の最上位精霊のため、もちろん雷系スキルと言えるだろう。ただ、精霊魔法自体は雷系スキルに含まれていない。そして、もし、ジールとの精霊魔法が雷系に含まれるとしたら、ユグとの雷の精霊魔法は雷系に含まれるのかという疑問も出てくる。
ただ、これから1番最初の疑問は解消されるだろう。もし雷系に含まれるとしたら雷刃の威力は今までの2倍となる。
「はっ!」
俺は右手に持っている闇翠を上から振り下ろして雷刃をイムに向かって放った。
「あれ?威力かなり上がった?」
「…身体を治してからコメントしてくれ」
イムの身体は縦に綺麗に真っ二つになった。その状態でも普通に話し始めたからびっくりした。
「威力を見たいって言っても実際に受けるとは思わなかったよ」
「だって避けたら威力なんて分からないし、吸収とかしたらソフィアちゃんが怒っちゃいそうじゃん」
何となく聴き逃してしまいそうだったが、イムは魔法を吸収することもできるのか?
「そんなことより、いつこんなに威力上がったの?魔力量に対して2倍近くになってるんじゃない?」
イムはピンポイントに当ててくるから恐ろしい。実際、ジールとの精霊魔法では威力が2倍になっていた。
「まあ、それは個人情報だから置いておくとして…私が特訓させたいのはダーリンが接近戦と組み合わせられる雷刃のような魔法をどんどん活用していくことなんだよ。ダーリンは魔法を複雑に高威力にできるのもあって、接近戦中に魔法をあんまり使わなくなったんだよ。ダーリンの最大の良さはその反射神経だから、それをより活かす為に雷を使うべきだと思うんだよ」
確かに最近は前ほど接近戦中に魔法を使うことが減ったな。それはステータスがかなり上がったからというのもあるだろう。下手に魔法を使って接近戦をするよりも全力で接近戦をした方が楽なのだろう。
「でも、これはあくまで僕個人的な意見だから反論があるなら言ってね」
「…いや、その通りだろうな」
この前のリュウとの試合で、もし接近戦中に魔法を使えたとしたらもう少し戦えていたと思う。そして、試合のルールに魔法禁止がなかったとしても魔法を有効活用できなかっただろう。
「だから僕が練習相手になってあげるよ。接近戦もそれなりにできるし、魔法もある程度無視できるからね。サンドバッグ代わりに使ってね」
「お、おう…」
もしかすると、イムは俺達に接近戦もできるのを見せ付けるために、ソフィ相手に接近戦を行ったのかもしれないな。
そして、サンドバッグ代わりと言われると、急にやりずらくなる。
「よし、来い!」
「神雷ダブルエンチャント、獣化」
さすがにエンチャントとかを何もしなかったら雷刃を使って接近戦ができる。ただ、ステータスが上がることによって戦闘の速さが変わると、考える時間が無くなってしまい、思考に余裕が無くなる。それを解消するための特訓のため、神雷ダブルエンチャント程度は必須だろう。
「はっ!」
「また魔法の方に意識が向き過ぎだよ」
イムは俺の攻撃を防ぎながら助言をしてくれる。かなり余裕がありそうだな。
「おっと…!」
「何度見てもその反射神経は唯一無二で素晴らしいよ」
イムが俺に比べて余裕がある理由として、ソフィが俺に魔法を放ってくるからというのもある。攻撃だけに集中していいなら流石に両立くらいはできる。
「はあーー…」
「初日にしてここまでの成長はかなり上出来だと思うよ」
「そうか……」
結局夕方までやって、やっと何とか接近戦中にも雷刃が使えていると言えるレベルになった。急速に物事を考えなければならない高速戦闘中に魔法を使うことがこんなに大変だとは思わなかった。
「ベクア達も心配してるかもしれないから早く帰らないとな……」
ベクアはソフィとイムが模擬戦をするために俺達が居なくなったと思っている。朝に出て行って夕方まで帰ってこないとなると心配しているだろう。
昼には帰ろう思っていたのだが、思いのほか特訓が白熱してしまった。
「ダーリン肩貸そ…」
「1人で歩けるから大丈夫」
そして、何かと理由をつけて近付こうとするイムを拒絶することにも頭を回さなければならないのもこんなに疲れた原因の1つだろう。
そんなイムに断りをいれてから俺達3人は少し急ぎながら宿まで戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます