第334話 首都到着

「多分この辺りだよね?」


「この辺りで間違いないと思います」


集合地点付近に来たと思うが、一応地図を広げてもう一度確認した。その結果、この辺りで間違いないっぽい。


「あ、ソフィ!ちょっと来て」


「どうかしましたか?」


「これ見て」


少し近くを散策ここで野営をしたような跡があった。それもかなり最近のものだろう。



「とりあえず魔法を放つ?」


「お願いします」


跡の周りを軽く捜索してもキャリナ達の姿が確認できないので、元々の予定通り空に魔法を放ってみることにした。


「黒雷!」


目立つように黒い雷をジールとの精霊魔法で真上に放った。かなりゴロゴロと音が鳴ったけど、街には聞こえてないよね?



「あっ」


「集合できそうですね」


雷を放って5分くらい経つと、俺が魔力感知できる範囲に反応が3つあった。魔力的に考えて誰かもわかった。


「すいません、食べれそうな魔物を狩りに行ってました」


「全然問題ないよ」


やっぱり、やってきたのはキャリナとエリーラとシャナだった。今夜の昼と夜に食べる魔物を狩りに行っていたそうだ。


「ゼロスさん、まだ血抜きもしてないので、この魔物をゼロスさんのマジックリングに入れて貰えますか?」


「了解」


キャリナ達が持っているマジックリングには中に入れた物の時間がゆっくりになる効果はあるそうだが、完全に時間が停止する効果はないらしい。だから俺の中にキャリナ達が狩ってきた3mくらいのイノシシの魔物を俺のマジックリングの中に入れた。



「じゃあ無事に揃ったことですし、王都に向かいましょう」


「あれ?すぐ近くの街に行くんじゃなかった?」


確か予定ではすぐ近くの街にとりあえず行くっていう話だったはずだ。


「1度私だけで街に入った時にベクア兄様からってこれを渡されました」


そう言ってキャリナが渡してきた手紙を俺とソフィで読んだ。

内容は、できるだけ早く大会の開催地である首都に来てくれという内容だった。


「………」


やべ…俺とソフィのせいでかなり遅れている。そういえば最近はベクアから借りた水晶もマジックリングから出てない気がする。


「…とりあえず急いで行くか」


「はい」


獣人の街には一切寄らずに首都を目指して走り出した。首都には遅くても3日後には到着するそうだ。もちろん、俺達の走るペースが早いからこんなに早く着くそうで、馬車とかだと、1週間以上はかかってしまうらしい。

その日の夜はキャリナ達が狩ってきた魔物を調理して食べた。その後のご飯もマジックリングに入っている食べれる魔物を調理して食べた。深林やそこに近い場所だと、魔物が高ランクのため、魔物避けの魔導具が使えなかった。だから肉を焼いたりする匂いが強い料理はできなかった。しかし、街が比較的近くにあるここでは現れる魔物のランクは低く、魔物避けの魔導具を使えば魔物も寄ってこないので、調理して美味しくご飯を食べられる。




「見えてきました!あれが私達が住む獣人国の首都キルラベルです!」


予定通り3日で獣人国の首都であるキルラベルという街に到着した。そのまま、俺達は門へと向かった。



「キャリナ様方。お待ちしておりました。一応確認のため、こちらにサインをお願いします」


貴族用?なのか人の少ない門の門番に止められたが、ベクアから話が言っているのかスムーズに話が進んでいる。



「ご確認します………。そちらはキャリナ様、ゼロス様、ソフィア様、シャイナ様、エリーラ様ですね。……確認が終わりました。ゼロス様とソフィア様とシャイナ様とエリーラ様はこちらのバッチを胸にお付けください。ようこそ、首都キルラベルへ」


門番に渡された赤いバッチを胸に付けて分厚い門を潜った。ちなみにこの門は王族専用の門らしい。だからここまで確認もスムーズに済んだそうだ。



「おおーお!」


当たり前だが、街の中には獣人しか居ない。街の至る所に獣耳っ娘がいる。


「ベクア兄様が良い宿を予約してくださっているようなので、そちらに参りましょう」


キャリナに案内されて街を進んでいった。

魔族が来るということは街の人知らないのか、獣人では無い俺達を警戒している様子は全くない。

この街の様子は俺達の国の王都よりも盛り上がっている…というよりも騒がしい。



「さあさあ!飛び入り参加自由だよ!現在7連勝中のサンチュに挑むものはいるかー!」


「…お兄ちゃん、行ったらダメですよ」


「…わかってるよ」


街にボクシングリングのように糸のようなもので囲まれているスペースが簡易的に作られていた。どうやらそこで挑戦者として戦ったり、どちらが勝つかとお金をかけることとかもできるみたいだ。

ちょっと気になるが、とりあえずキャリナの案内に従って宿へと真っ直ぐ向かった。

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