第313話 夜の狩り1
「じゃあソフィとシャナは先に休んでて。まだ昼で寝れないかもしれないけど、体を横にして目を瞑ってるだけでも休まるから」
「分かりました」
「ん」
俺達は午前の狩りが終わって、夜のために午後から交代で見張りをする。
午前の話し合いで、想定よりも多くも魔物が出た場合と、想定よりも強い魔物が出た場合の話し合いを狩りをしながら話した。
魔物が多過ぎると2人以上が判断したら即避難する。判断した時には、キャリナ以外は真上に何らかの魔法を放ってもらうことになった。キャリナには、俺とソフィがあまり使わない魔法を貸しておく。それが残ってたらそれを上に放つ。キャリナが使い切っていたら、魔物から奪ったやつを上に放ってもらう。
そして、強い魔物の対策は少し複雑だ。シャナやキャリナでは、対処が難しい魔物でも、俺とソフィとエリーラでなら倒すのは難しくないと判断した時は即座に撃破する。
俺達3人の誰かでも倒すのが難しいと判断した時は、ソフィとエリーラが時間稼ぎをして俺が転移の準備をする。
最後に、倒すことが不可能で、全員死亡する危険がある魔物が現れた時は、俺とソフィが全力で戦ってその間にエリーラとシャナとキャリナは揃って逃げる。その3人が逃げれたと判断したらソフィの転移で俺とソフィは転移する。
このように緊急時の時の対処については細かく決めておいた。その他何か問題があったりしたらその都度状況を見て判断するという感じだ。
「みんな準備はいい?」
「問題ないですよ」
「ん」
「いいわよ」
「大丈夫です」
先に寝た俺達がソフィ達と交代した。そして、予定の時間になってソフィ達を起こして少し準備をすると、もう19時になった。
「ソフィ、お願い」
「ライトボール!」
ソフィは巨大な光る玉を頭上に作った。
「雷結界!」
そして、俺は半径10mの結界をジールとの精霊魔法で作った。これはもしもの場合に避難するための結界だ。だから基本魔物をこの結界には近付けさせない。
「ギチュア!」
「グェア!!」
「オォーン!」
「ギシャシャ!!」
強い光に寄せられた蛾と同じように魔物が大量に光を見て寄ってきた。そして、俺達と魔物の大軍との戦闘が始まった。
「今のところ問題はなさそうだな…」
魔物がやってきて30分程が経過した。結界内の俺から見て、特に緊急事態は起こっていない。シャナとキャリナは最初の頃は知らない魔物の対処に困っていたが、もう既にそれも慣れている。ソフィとエリーラも特に問題なくサポートをできている。少しキャリナのサポートのエリーラが大変そうというくらいだ。
「…ん?」
後数十分で交代の時間だが、なんか深林の奥から遠くから見ても分かるくらい他よりも明らかに大きいムカデがやってきた。1対1ならシャナやキャリナでも負けないと思うが、今の状況で相手をするのは大変そうだ。
「あれ俺やっていい?」
「いいですよ。油断しないでくださいね?何かあったらすぐに駆けつけるので呼んでくださいね」
「もうすぐ交代なんだから遊んでないで早く帰ってきなさいよ」
「分かったよ」
俺はムカデを倒すために暗い深林の中へ入っていった。シャナやキャリナに近付くまでに倒さなければならない。
「ギシャシャシャ!!!!」
「…ソフィかエリーラに任せればよかったかも」
少し丸まっているからはっきりとは分からないが、推定全長10mほどあるムカデは受け付けられない。普通にただ気持ち悪い。カサカサと動く音にすら全身に鳥肌が立つ。
「ジール精霊降臨、雷電トリプルエンチャント」
とりあえず精霊降臨とエンチャントをしてステータスを上げた。そして、適当にサンダースピアを放ち、挑発を使って俺に注意を向けた。俺が少し離れると巨大ムカデも着いてきた。この巨大ムカデを恐れてか、近くの他の魔物があまり近寄らないのは嬉しい誤算だ。
「斬りたくないな…そもそも近付きたくもないな」
俺は一定の距離を保って魔法で倒すことにした。こいつの遠距離攻撃は毒を放つことと、牙を飛ばすことだけだったので、防ぐのは簡単だ。
「ファイアボール!」
「ギシャーーー!!」
「うげっ…」
巨大ムカデの顔に火魔法をぶつけた。その苦しみでそいつが仰け反った時に俺は見てしまった。巨大ムカデの胸に数十匹ほどの子ムカデが密集している光景を。
「きもっ……」
その子ムカデは仰け反ったタイミングで巨大ムカデの腹?から離れてこっちに向かってきた。子ムカデは1m程でそこまで驚異ではないだろう。しかし、1mほどのムカデの大群が迫ってくるのはかなり恐ろしい。
「雷龍!!」
俺は焦って精霊降臨中に必要のない詠唱をしてまで雷龍を5つ放った。
「「「「「ギチュア!」」」」」
「ギギャャャ!!」
「あっ…」
今あるだけの魔力を全て使って放たれた雷龍は巨大ムカデ諸共ムカデを殲滅した。
「シャー!!」
「ノーン…」
「ガァァ!」
「ワォーン!」
「ァァァァァ!」
「………」
正面を平地するほどの威力の雷龍の音と光に誘われて魔物が今まで以上に集まってきた。
「さすがにこれ引連れて戻ったら怒られるよな…」
この増えた魔物を連れて戻ったらシャナとキャリナは涙目だろう。そして、ソフィとエリーラからは余計なことするなと思われるだろう。いや、既に音は聞こえてただろうからそう思われているかもしれない。俺はここに集まった魔物をある程度狩ってからソフィ達の元へ戻った。
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