第275話 次の予定
「ソフィ、ちょっといい?」
「はい、何でしょう?」
夜ご飯を食べ終えてから、それぞれの部屋に戻る前にソフィに声をかけた。そして俺の部屋で今日イムに言われた5人の魔族の事を話した。
ちなみに、イムのものになれというのは話さなかった。別に今話さなくてもいいよね?
「…それは今日の事ですよね?」
「そうだけど…」
「分かりました」
ソフィはそう言うと、俺の部屋から出ていこうとした。
「ちょいちょい、どこに行くの?」
「まだそんなに遠くまで行っていないでしょう。なら今のうちに殺した方がいいでしょう」
「ちょっと落ちつこうか」
今日の事と言っても、イムと会ってからもう何時間も経っている。ならもう近くには居ないだろうし、近くに居たとしても、俺たち2人には探す手段はない。だから見つけることは不可能だ。
「……魔族のせいで次の予定が決まりましたね」
「次の予定?」
確かに対校戦が終わってからの予定は特に無かった。ベクア達の留学期間は終わるし、しなければいけないことも特にない。
「またいつかイムという魔族にも遭遇するでしょう。その時に確実に殺せるようにレベルを上げましょう」
つまり、俺達の次の予定はレベル上げという事になった。
「レベル上げ中なら魔族に襲われても一般人には被害が出ないので一石二鳥です」
俺達がレベル上げを行うような場所には一般人は居ない。もし人が居てもそれは一般人では無い。そこなら襲われても大丈夫だ。
「そこで問題となってくるのは、誰を連れて行くかって事ですね」
「あ、そうだね」
ソフィなら2人っきりになるために2人だけで行くと言うかと思ったが、そうではなかった。
「正直、この前の深林でレベル上げを行うとしたらシャナ、クラウディアは少し足でまといでしょう」
Aランク以上の魔物しかいないあの深林でとなると、まだ進化をしていない2人には少し大変かもしれない。
「ベクア、エリーラは実力的には大丈夫でしょうが、自分の国に帰らなければなりません」
その2人は1度進化もしているから問題は無い。しかし、もう留学期間は終わるため、自由にはできない。
「私達2人で話しても埒が明きませんので、明日みんなの前で言いましょう」
「そうだね」
結局、俺達2人だけでは、メンバーを決めることはできない。明日はちょうど今日のサバイバル戦の反省会的な形で会うことになっているからちょうどいい。
「でもソフィが他の人を誘うとは思わなかったよ」
もしかしたら対校戦を通じてソフィもみんなと仲良くなったのかもしれない。
「私達2人だと、どうしても見張りの関係で一緒に寝る事ができませんからね」
「あ…そう」
やっぱりソフィはどこまでいっても俺本位の考え方のようだ。
今日の俺達の話し合いはここで終わって解散した。俺もソフィも大会の疲れを癒す為にぐっすり眠った。
「……………って訳だけどどう?」
そして次の日に昨日の話をみんなに伝えた。最初に返答をしたのはクラウディアだった。
「私は実力的に劣りすぎて迷惑をかけると思うので行きません」
「わかった」
そして、クラウディアに続くように勇者達に囮にされていた3人も辞退すると言った。
「私も足を引っ張って迷惑を思う。それでも行きたい。いつの間にか2人とは差がついたから、私も2人に負けないくらい強くなりたい。迷惑をかけた分の恩は強くなってから返す」
シャナが俺達の方を見て真剣そうにそう言った。俺はそんなシャナを見て一緒に行きたいと思った。俺はソフィの方を見た。すると、ソフィは少し微笑んで俺に任せると言うように顎を俺に少しくいっと動かした。
「わかった。よろしく」
「ありがと…」
そしてシャナが同行することが決まった。
「私は女王様にゼロスと居るのなら好きに行動していいって言われているわ。だから迷惑でないと言うなら私もついて行きたいわ」
「ならよろしくな」
今度はエリーラが同行することが決まった。いや…女王からどんな命令を受けてんだよ…。何か他にも変な命令をもらってそうだな…。
あと確認していないのは、ベクア達獣人だ。確認するためにベクアの方を見てみると、拳を強く握って震えている。
「行きたい…行きたい!だが…国に帰ってやることがある…!行きたい!けど行けない……」
正直、今回の提案に1番食いついてくるのはベクアだと思っていた。予想通り1番食いついたが、行けないそうだ。そして、ウルザとキャリナも同じくやる事があるらしく、行けないそうだ。獣人の王族揃ってやる事があるのか。
「これでメンバーは決まったな」
「………そうですね」
深林へ行くメンバーは俺、ソフィ、シャナ、エリーラの4人となった。
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