第156話 いざ精霊降臨!
「まずティヤが精霊降臨するから魔力感知でちゃんと見て」
「うん」
そう言うとティヤさんは精霊降臨をした。魔力感知で見てみると、全く魔力に無駄がない。魔力感知のスキルレベルを上げさせたのは精霊降臨をよく見るためだったのか。
「まずはゆっくり丁寧でいいからティヤと同じようにやってみて」
「わかった」
そして何度か深呼吸をし、ジールに精霊降臨をやると話しかけた。そしてゆっくりとジールとの繋がりを意識しながら精霊降臨をした。
「で、できた…」
「よかったね」
俺は精霊降臨をすることができた。それも今までと違い、魔力はまだあと数分は持ちそうだ。
「でもまだ無駄があるね」
「そうだね…」
俺の体からは時々雷が漏れ出している。纏うほどの量ではないが、魔力を無駄にしている証拠だ。
「その状態で精霊魔法を放ってみて」
「う、うん」
魔力量の心配をしたが、あまり威力を高めなければ数回精霊魔法を使うことくらいは問題ないだろう。
「雷斬……あれ?」
「ふふっ…もう1回やってみな」
剣の代わりに手を振って精霊魔法を使った時にものすごく違和感があった。それを確かめるためにもう一度手を振った。
「え…?」
「わかった?それが精霊降臨の1番の利点だよ」
2回目は雷斬をするというイメージのみで手を振っただけだ。特に精霊魔法を使うために魔力を操作したりはしていない。
「精霊降臨中は詠唱なんていうのは全く必要ない。イメージさえすれば精霊が代わりに魔法を準備してくれる」
なるほど…。エリーラが代表戦でベクアと戦った時に腕を振っただけで魔法が使えてたのはこれが理由だったのか…。ということは、あの魔族に精霊降臨した時はほぼ意味がなかったんだな…。あの時は何も考えずにただ殴っただけだからな…。
「あ…」
なんて呑気に考えてたら魔力が切れそうになってしまった。
「はい」
「ありがとう…」
そんなタイミングでティヤさんがMPポーションを渡してくれた。俺はそれを一気に飲み干した。
「じゃあ今からは無駄になっている魔力を無くしていくよ」
「はい」
そして今度は微妙に漏れている雷を無くす練習が始まった。
「できました…」
そして何度か試行錯誤しているうちに、とうとう無駄にする魔力を0にできた。
「動ける?」
「無理です!」
しかし、漏れる魔力を抑えるために体がこわがってしまっているせいで動けない。
「へ〜〜…!なら無理やり動かしてあげる!」
「え??」
ティヤさんがそう言うと体が勝手に動き始めた。そして魔力が再び漏れ出そうとするのを頑張って押さえつけた。もしかして影を操られている!?
「うーん…今の状態じゃまともに戦闘は無理。他の方法を考えて」
「はぁ…はぁ……はい…」
体が勝手に動くせいでこわがっているのが解けそうになる。そして魔力が漏れそうになるのを必死に押さえつけていたらかなり疲れてしまった。でも、確かにこれでも一応漏れる魔力は抑えられるが、動けないんじゃ実用性が全くない。ティヤさんが言うように他の方法を考えないと…。
「今日はこれまで。おつかれさま」
「…お疲れ様です…」
結局あれから漏れる魔力を0にする方法は見つからなかった。漏れる魔力を減らす方法は見つかったが、0にするのは難しい。ティヤさんが言うにはこれはコツらしい。人それぞれで0にする方法は違うらしい。ちなみにティヤさんは、ポンッ!ギュッ!っていう感じらしい。全く分からなかった。
『2人とも何かいいアイディアない?』
俺一人ではいい方法は何も思い浮かばないので、諦めてジールとユグに聞くことにした。
『うーん…こればかりは俺もコツだと思うわ。だから難しいな。まあ、何日もやってけば勝手に漏れる量は少なくなるだろうし、そのうち0にもなるだろう』
『やっぱりそんなもんか』
ジールが言うようにのんびりと少なくするしかないのかもしれない。
『うーん…何で漏れる魔力を0にするの?』
『え?』
『え?』
ユグの言ったことに俺とジールは2人して困惑してしまった。
『だって魔力が漏れたら無駄になるから』
『いつも雷纏って戦ってるよ?』
『精霊降臨の時は無駄に魔力が垂れ流しになっちゃうから』
『なら雷が漏れるのを防ぐんじゃなくて、雷が体から離れるのを防げばいいんじゃない?』
「あ…」
確かに垂れ流しになっていても、体のそばにずっと止めて置ければ無駄にはならない。今はその流れている雷を有効活用できていないから無駄なんだ。
『そもそも雷吸収で漏れる雷を魔力としてまた吸収すればいいよね?』
『…そっか…ユグありがとう』
おれは素直に考え過ぎていたようだ。雷吸収の吸収効率が100%を超えたら、俺は精霊降臨中に無駄にするはずだった雷を全て吸収できたら魔力が切れることは無い。
「あっ」
でもその時は称号の避雷針を使い続けなければならない。すると、俺は雷を放てなくなる。これに関しては色々と実験してみなくては分からない。でも、問題解決の糸口が見えたので良しとしよう!また色々試すのが楽しみだ!
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