第126話 ソフィア視点
「おめでとうございます!Bランクに昇格です!」
「ありがとうございます」
「1ヶ月以内にパーティ名を決めてください」
「わかりました」
ギルドの受付からランク昇格が告げられた。最近はこの辺にいないはずの魔物が現れたりしてたおかげで依頼が飽和状態になっていた。だから護衛依頼から4ヶ月と掛からずにランクアップすることができた。
「じゃあ明日は休みにしようか」
「そうですね」
「ん」
お兄ちゃんが急に明日は休みにすると言い出したが、これは元から決めていたことだ。Bランクに上がったら皆んなでパーティ名を考えるために、次の日は依頼を受けずに話し合おうと。
「ソフィは何か案があったりするの?」
「まだありませんね…」
2人で帰っている時にお兄ちゃんからパーティ名の案を聞かれたが、これと言っていいのが思いついていない。
「俺もまだ思いついてないよ」
一応後からパーティ名を変更することはできるが、それができるのはAランクに上がってからだ。だから、少しの間は付けたパーティ名を使わなければならない。なので変な名前をつける訳にはいかない。
「ウォレスさん達みたいな感じにする?」
「さすがに少し小っ恥ずかしいですね…」
「だよね…」
ウォレスさん達に会う機会があった時にお兄ちゃんがパーティ名を聞いていた。ウォレスさん達のパーティ名は《英雄の光》と言うらしい。その名前を付けた理由は英雄にはなれなくても、英雄を照らしてあげれる光にはなりたいという理由だった。聞いた瞬間はどういう意味か分からなかったが、簡単に言うと英雄をサポートできるくらいには強くなるということだった。
「でもパーティ名は俺達っぽいのがいいよね」
「そうですね」
そんな話をしながら家まで帰った。そして夜中には相変わらず深夜特訓を行っている。シャイナも家で鎌を扱う練習はしているみたい。この深夜特訓では私はほとんど瞑想をしている。その時は大体あの神の予言のことを考えている。私のお兄ちゃんは強くなった。きっとどんな相手だろうが手も足も出ないで負けるなんてことは無いだろう。そして何よりも私がお兄ちゃんの傍に居れないなんてことはあるのだろうか?私はどんな時でもお兄ちゃんの傍にいる。私とお兄ちゃんが予定よりも強くなったおかげでもう予言は回避出来たのだろうか?
「ソフィ、そろそろ寝ようか」
「わかりました」
私のお兄ちゃんが息を切らしながら話しかけてきた。今日も結局予言については結論は出ないまま瞑想時間が終わってしまった。
「ソフィおやすみ」
「ゼロ兄様、おやすみなさい」
お兄ちゃんの体を魔法で綺麗にした後にそれぞれの部屋に別れた。
「はぁ…」
私は自分の部屋に入るとため息を吐いた。私は不安要素というものが数多くあるこの状況が嫌だ。だからといってそれをどうにかする手立てもない。明日は2人に少し時間をもらって教会に行こう。そこでまだ予言は続いているのか、続いているなら予言はいつ、どこで起こるのかは聞く。素直に話してくれるなんて思っていない。どうにかして聞き出さなければならない。私は明日やるべきことをリスト化しながら眠りに着いた。
だがそんな平和な明日というものは訪れ無かった。
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