第124話 急変
「インフェルノボム」
数十秒立ち止まって準備をすると、ソフィが魔法を放った。初めて見た魔法だけど効果はファイアーボムの強化番みたいなもののようだ。
「キッシャーー!!!」
すると地面の中から20m程の蛇の魔物が出てきた。と言ってもこの魔物のいた部分の上の土はソフィの魔法で消し飛んだので、出てきたというより、出されたという感じだ。
「雷、火ダブルエンチャント、雷電鎧」
そして俺も作戦通りに蛇に向かって行った。肝心の蛇はソフィの魔法でのたうち回っているだけでこちらに気が付いた様子は全くない。
「はぁっ!」
「シャッ…」
難なく近付いて蛇の首を切り落とすことができた。のたうち回っているせいででかい体を避ける必要があったが、それは全く問題なかった。というかソフィの魔法の威力が強過ぎる。放っておこいてもこいつは死にそうなほど全身火傷している。これは素材としての価値は低いかもしれないな…。
「ソフィ」
「わかりました」
ソフィは名前を呼んだだけで何がしたいかわかったようで、マジックリングに蛇を収納した。そして俺たちは凹んだ地面を元通りにしてから馬車のところまで戻った。もしかしたら他の地面の下も蛇の通り道になって空洞のところがありそうだが、蛇のいた場所は10mほど下なので、普通に地面を通る分には大丈夫だろう。
「おつかれ」
「シャナもおつかれ」
馬車に戻ると目を見開いて驚いている4人がいた。僕っ子は特に驚いた様子は無かった。
「あ、あの…」
「ん?」
そして男の冒険者から話しかけられた。
「も、もしかして…あなた達3人は対校戦に出場していましたか?」
「うん。そうだよ」
別に隠していることでもなんでもないので素直に答えた。
「その対校戦の代表戦で中堅と副将と大将をしてましたか!」
「中堅」
「私が副将でした」
「大将やってたよ」
「で、ですよね!!」
なんか急に男のテンションが急激に上がった。どうしたんだろうか?
「今まで本当に生意気言ってすいませんでした!手の平返しですが、対校戦からファンです!握手して頂けないでしょうか!」
「えー…」
本当にすごい手の平返しだ。今までの様子が微塵も感じないほど目が輝いている。
「とりあえず馬車をこのまま止めているわけにはいかないから、その話はまた後で」
「はい!わかりました!」
そして御者と依頼主に魔物は討伐したと報告して再び移動が始まった。そして野営場所を探しに行くまでの間に少し考えたが、もしかしてギルド長は他のメンバーはまだわからないが、この男の方はファンだということを知っていたかな?
「俺達の試合見てたの?」
「はい!見させてもらいました!」
俺がファンということについて話しかけたのは昨日同様に2人での見張りが始まった時だった。俺がまた後でと言ったからか、俺が話しかけるまでこの男から話しかけることは無かった。このパーティの手の平返しは凄く、俺達が野営で何をやるにも手伝いますか?とか聞いてきた。僕っ子以外は。とりあえず俺達が何をしているかよく見て、疑問があったら質問してっと言っておいた。そうしたらこれはなんでやるのか、どうやってやってるのか…など多くの質問があった。もし出来そうなら明日にでも準備を手伝ってもらう予定だ。
「どうやって試合見たの?」
「録画ができる魔道具で見せてもらいました」
冒険者の中に対校戦を見に行った者がいたらしく、その男は1人銀貨1枚で試合映像を見せてくれたらしい。一応年も近いから参考になるかも…という軽い気持ちでみんなで試合を見た結果、僕っ子以外ファンになったらしい。なぜ初対面で分からなかったのかと言うと、魔道具がそこまで高品質というわけでも無かったので画質があまり良くなく、顔まで認識することが不可能だったかららしい。
「えっと…君の名前は?」
「ソックです!」
なんか靴下みたいな名前だった気がするだけで名前がわかんないな…と思って名前を尋ねた。
「あの雷を纏うの超かっこいいですよね!」
「あ、ありがとう」
そこからなぜか俺の事を褒める時間が少し続いた。正直、少し嬉しくはあるけど気まずいから止めてほしい。そこから質問なども含めて色々は話していたら見張り時間なんてあっという間に終わった。ソックはどうやら俺の影響で二刀流を始めたらしい。しかしまだまだ二刀流は全然できないらしい。だがソックから二刀流を教えてくださいとかを言うことは無かった。もしかしたら冒険者として舐められないように生意気なフリをしているだけで根はいい子なのかもしれない。もし今度時間があったら教えてあげてもいいかもしれない。そして見張りを交代して次の日の護衛が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます