第116話 帰宅

「あ゛〜〜〜!やっと着いた!」


「さすがに2週間の長旅は疲れますね」


「疲れた」


再び2週間の長旅を終えてやっとリンガリア王国に帰ってきた。この2週間はろくに動けてないのでストレスが溜まっている。


「では、このままグラウンドに向かうぞ!」


「「「おぉ〜」」」


学園長の掛け声に俺達対校戦参加メンバーは少しやる気がなさそうに答えた。多分俺達生徒達なんかは遠出に慣れていない人がほとんどだろう。なのでみんなまず帰りたいと思っているだろう。しかしこれから学園に戻って対校戦の結果を全生徒に報告しなければならない。まあ結果は皆もう知っていると思うけど、俺達が直接報告するということに意味があるらしい。




「「「優勝おめでとう!!!!」」」


「……結果報告しなくてよくね?」


「…そうですね」


「…ん」


校門をくぐった途端に全校生徒から大きな歓声が聞こえてきた。


「俺達は優勝してきたぞー!!」


「「「わぁーーーー!!!」」」


そして学園長が叫びながらそう言うと、周りにいた全校生徒の歓声も大きくなった。


「はぁ…」


「これは…面倒ですね」


「…」


コソッと馬車から降りたが、周りでは俺達3人を探しているような声が大量に聞こえてくる。俺たち3人は隠密を持っているので見つからなくて済んでいる。だが見つかった他の参加メンバーは胴上げをされていて大変そうだ。



「あっ、いた!」


「ん!?」


「大会お疲れ様です」


「ああ、ありがとう」


いた!と言われた時はついに見つかってしまったかと焦ったが俺達を見つけたのはクラウディアさんだった。


「あ、あの…そんなに見つめられると……」


「…ゼロ兄様?」


「ゼロス?」


「あ、いや!ごめん」


クラウディアさんとは長らく会っていないのにどこかで会ったことのあるような気がしてついガン見してしまった。申し訳ない。


「癒せ、リフレッシュ!」


「おっ」


「ん?」


「わっ」


「皆さん、長旅で疲れていると思ったので疲労回復させる魔法をかけました」


「ありがとう」


「ありがとうございます」


「ありがと…」


「いえいえ!」


相変わらずクラウディアさんはいい人だ。あれ?疲労回復の魔法なんて回復魔法にはなかったよな?なんの魔法だろうか?


「私が長く拘束しては魔法の意味が無いので私はもう失礼しますね」


「またね」


「ありがとうございました」


「じゃ」


そしてクラウディアさんはトコトコと小走りで走り去っていった。


「じゃあ俺達も帰ろっか?」


「はい」


「ん」


未だ学園長達は盛り上がっているが、グラウンドに着いたら解散していいと言われていたので俺達は帰ることにした。久しぶりの我が家に帰ると母様とアンドレ兄様とジャドソン兄様が家に居て、対校戦の活躍をとても褒めてくれた。父様は父様の領土で何やら少し問題が起きているらしく、王都には来れなかったが褒めていたと母様が言っていた。久しぶりにソフィ以外の家族達と共にご飯を食べてその日はぐっすりと眠った。

ちなみに明日は王様に結果報告を行う。そして明後日は学校にテストだけ出席すれば大丈夫になる届けを出す。その後はついに冒険者だけに集中することができる!そのためにもまずは明日の王様への報告を頑張ろう。






「リンガリア王国初の対校戦優勝、我も嬉しく思うぞ」


「「「ありがとうございます」」」


知っているであろう結果を王城でギルド長が報告した。


「褒美にジャンパ・カルレロ、タッカー、リーゼル、エーミィ・エスティル、マーケル・ドーキンスらに第3宝物庫から好きな物を一品を下賜する」


「「「「「有り難き幸せ」」」」」


そして初優勝の褒美で参加メンバー一人一人に宝物庫から好きな物を貰うことができるらしい。


「そして代表戦に出場したワッツ・コールキン、サロナ・ヴィーナスには褒美として第3宝物庫から好きな物を二品を下賜する」


「「有り難き幸せ」」


ちなみに褒美を貰えることは知っていた。今まではわざわざ俺たち自身が王城まで行って報告するなんてことは無かったらしい。ただ初優勝ということでこういったことになっている。もちろん次に優勝してもこんなことは無い予定らしい。


「代表戦に出場し、留学生相手に負け無しだったシャイナ・リンガリアには褒美として第2宝物庫から好きな物を一品を下賜する」


「有り難き幸せ」


そして褒美は一応その人が活躍した分貰えるらしい。そこは均等ではないようだ。


「代表戦に出場し、留学生相手に負け無しで、副リーダー、リーダーとして皆を引っ張ってくれたソフィア・アドルフォ、ゼロス・アドルフォには褒美として第2宝物庫から好きな物を二品を下賜する」


「「有り難き幸せ」」


ちなみに学園長などの学園関係者並びに護衛として着いて来てくれた騎士などにはお金を貰えるらしい。

ちなみにシャナに聞いたところ、第3宝物庫にはレアではあるが1年に数個は取れるものがあり、第2宝物庫には数年に1度取れるようなものと、使う人を選ぶがこの国でトップクラスにレアなものがあるらしい。そして1番中に何があるか気になる第1宝物庫だが、それについてはシャナも中に何があるかは教えて貰えてないらしい。


「では案内しよう」


そして国王様直々に案内してもらうこととなった。何故かと言うと宝物庫は国王様しか開けられない作りになっているかららしい。一体どんな作りなのだろうか?


「…お主があれを抜くことを期待しておる」


「えっ…?」


そして国王様が通り過ぎた時に何かを言っていた。最後の方の期待しておる、ということしか聞こえなかった。一体俺に何を期待しているのだろうか…?



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