第87話 顔合わせ
「初めましてリーダーをやらせてもらう1年のゼロス・アドルフォと言います。武術と魔法どちらも得意です。よろしくお願いします」
教室にすら寄らず練習場に行くともうメンバーは全員集まっていたので、とりあえずみんなで自己紹介をすることにした。俺の後に続いてみんなそれぞれ自己紹介していった。そして全員の自己紹介が終わる頃に学園長がやってきた。
「今日から5日間はお互いの実力の把握とコンビネーションの確認をしてもらう。リーダーと副リーダーを中心にお前たちが好きにやってくれ」
それだけ言い残すと練習場から出ていった。誰かが指揮するよりも俺とソフィでやった方がチーム的に纏まると考えたのだろうか。それともただ単に先生たちは授業で忙しいのか。
「ソフィどうする?」
他のメンバーの視線が全部俺に集中している。しかし情けない話だが、このような状況で何をすればいいかは俺よりソフィの方が分かるだろう。
「まずは3、3、4のグループに武術と魔法がバランスよくなるよう別れましょう。誰か一緒になりたい相手がいる場合は言ってください」
そう言うとちらほら声が上がった。やはり知っている人同士でグループは組みたいだろう。俺もソフィとシャナと組みたいが2人からは何も言い出さないしバランスよく別れた方がいいと思うのでどうしようか…。
「ではグループを分けます」
そして悩んでいるうちにソフィはグループを作ってしまった。できた3つのグループはこうなった。
《1グループ目》
マーケル・ドーキンス(魔法)
タッカー(武術)
リーゼル(武術)
エーミィ・エスティル(魔法)
《2グループ目》
ワッツ・コールキン(武術)
ジャンパ・カルレロ(武術)
サロナ・ヴィーナス(魔法)
《3グループ目》
ゼロス・アドルフォ(武術&魔法)
ソフィア・アドルフォ(魔法)
シャイナ・リンガリア(武術)
「情けないからあまり自分から言い出したくはないが3グループ目との実力差は大きくないだろうか」
1グループ目のリーダーがそう言い出した。ちなみにグループの最初に書いてある人がリーダーで()で囲まれているのは得意分野だ。つまり3グループ目のリーダーは俺で俺の得意分野は武術と魔法である。
「実力がある程度同じ人との方がコンビネーションは取りやすいと判断してこのグループに分けました」
なんかすごくオブラートに包んでいる気がする。俺とソフィとシャナの3人になった時に本音を聞いてみよう。
「ではこのグループで模擬戦をしてみましょう」
そして模擬戦をするようになったが1グループ目と2グループ目はいい勝負をしていたが俺たちとの模擬戦ではあまりいい結果とはいかなかった。
「ではこれからは私たちが1人ずつ順番にグループを相手にしていきます。改善点がありましたらその都度教えていきます」
3対1もしくは4対1をやると言っているのに反論が全く出なかった。もしかして実力差を分からせるためにわざとグループ毎に模擬戦をしたのかな?
そして今日の残りは模擬戦をしていたら終わってしまった。明日からはサバイバル戦のための作戦会議もするらしい。ただ詳しいルールは決まっていないので何となくの作戦を考えるだけだ。というかここまで仕切る能力を持っているならソフィがリーダーの方がいい気がしてきた。
「ソフィのグループわけをオブラートに包まない本音は?」
そして俺とソフィとシャナと3人で帰る時に気になっていたことを聞いた。
「まず私たちと同じグループになっても私たちにとってはただ足でまといにしかならないです。無駄に庇うことになるので邪魔です。いない方が楽です」
「おうおう」
オブラートに包んでいてよかった。包まなかったら傷つく人が続出だ。
「ならわざわざグループ事に分けた理由は?」
「これはあくまで推測ですが、話を聞く限りいくらあの人達がこれから努力したとしてもきっと7人全員で挑んで留学生1人と相打ちならいい方でしょう。なら最初から2つに別れて私たちが全力を出して留学生と戦える環境を完璧に整えてもらった方がいいでしょう」
「でもそれって結構重要な役目じゃない?」
「ですから今しっかりと訓練を付けているんです」
つまりソフィは留学生以外の全ての人は他の7人に相手をしてもらうと言っているということだ。これは結構大変な役目だ。
「ちなみにサバイバル戦の作戦は?」
「それは明日のお楽しみです」
ソフィがそう言うのであれば明日の楽しみにしておこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます