第79話 表彰式

「ではアナウンスがかかったら闘技場に上がって………」


控え室に着くとすでに居た3位のワッツさん?と表彰式の手順の説明をされた。


「では!今大会の優秀者たち!どうぞ!!」


そんなアナウンスが聞こえて来たので俺たち3人は闘技場の中心に向かった。俺とソフィが砕きまくった闘技場は綺麗に直っている。誰かが土魔法で頑張ったのだろう。お疲れ様です。そして俺たちは中央に着くと片膝を地面に着いて頭を下げた。


「3位ワッツ・コールキン」


「はっ!」


装飾のある立派なお立ち台にたった人がそう言うと、呼ばれたワッツさんは元気よく返事をした。そしてなぜまだ少しふらふらしている俺をゆっくり休ませることなく表彰式に連れてきたのかがわかった。それはお立ち台の上にいるのが国王様だからだ。そりゃ俺の都合なんて無視するだろう。


「対校戦の活躍も期待しているぞ」


「あ、ありがとうございます!」


3位決定戦では4位でも対校戦出場が決まっているのに何をモチベーションに戦うのかと思ったが、ワッツさんの少し泣きそうな様子を見ると国王様直々に表彰盾を貰えるのが名誉なことなのだろう。


「2位ゼロス・アドルフォ」


「はい」


ワッツさんが元の位置に戻ると今度は俺が呼ばれたので国王様の前に向かった。


「次回は優勝できるように頑張りたまえ」


「ありがとうございます」


そして俺も表彰盾を貰うと元の位置に戻った。


「1位ソフィア・アドルフォ」


「はい」


そして最後にソフィが呼ばれた。


「これに慢心せずこれからも精進したまえ」


「ありがとうございます」


そしてソフィも元の位置に戻ってきた。ソフィの表彰盾は黒色で俺は金色でワッツさんは銀色だ。ちなみに俺たちが国王様にする返事は決まっている。絶対に国王様に失礼な事を言わないためらしい。こんなことが決まったってことは昔に失礼なことを言ったやつでもいたのかな?


「今年は歴代最強世代と呼ばれた昨年よりも素晴らしい試合をしてくれた!対校戦で史上初の優勝もできると儂は信じている!ナイスゲームをしてくれたこの者達に盛大な拍手を!」


国王様がそう言うと盛大な拍手とともに俺たちの対校戦を応援する声も聞こえて来た。というかこの国は対校戦1回も優勝したことないの?この国が弱いのか他国が強いのかどっちなんだ?


「これにて園内戦を終了する!」


そして国王様が闘技場を出ていった。国王様の姿が見えなくなると俺達も闘技場から出ていった。


「おつかれ」


「あっシャナ!」


「応援ありがとうございます」


そして闘技場から出ると出待ちしていたシャナにあった。出待ち防止のために今回は裏口のようなところから出なければならなかったのによく出待ちできたな。そしてシャナも含めた3人で一緒に帰った。


「それにしてもこの国は対校戦に優勝したことないのね」


「うん」


「そうらしいですね」


「なんかの陰謀じゃないか疑っちゃうね」


冗談で言ったが実際に他の国が結託してこの国を勝たせないようにしているとかないのかな?


「陰謀じゃないけど勝てない理由はちゃんとある」


「理由あるの!?」


ただ弱いからこの国が勝てないという訳では無いらしい。


「ちょうどこの時期に留学生が来る」


「留学生?」


「そう。獣人とエルフとドワーフの王族が」


「え?留学生が対校戦に出るの?」


「留学生なんだからこの人間達の学生の大会を学ばないといけないという屁理屈で」


そんな馬鹿な…。この国がその事に文句を言っても意見は3対1になるので聞いてくれないらしい。ちなみに一応1つの国で留学生は3人までしか対校戦に出してはいけないらしい。それで代表者5人による対戦だと留学生達3人で3勝で負けるのか……。


「なんでこの国には留学生来ないの……。ごめん、わかった」


「そう…」


ソフィに強制的に受験勉強をさせられた成果がでた。まず、人間のが住む国はこの国以外に、神聖タグリオンと武国ガラテインとアナタイト鉱国がある。神聖タグリオンは武術はほぼ使われていなく、魔法が盛んである。逆に武国ガラテインは魔法がほぼ使われてなく、武術が盛んである。そしてアナタイト鉱国では武器、防具、魔道具などの生産系が盛んである。そしてエルフ達は武術が苦手で、魔法が得意である。逆に獣人達は魔法が苦手で、武術が得意である。そしてドワーフ達は手先が器用かつ力強いので物作りが得意である。それなら悪く言えば器用貧乏のこの国に留学生は来ないだろう。


「あれ?でもこの国は3位と4位で争ってるんだよね?」


「そうだね。ドワーフ達が物作りに夢中になり過ぎて対校戦に出場しないと3位」


「あはは……」


他種族が強過ぎる…。これはもっと強くならないといけないか?


「でも今年は私達で3連勝で勝てる」


「なら留学生が出ない2戦で勝ってあと1回留学生に勝つだけでいいのか!」


「ちなみにあからさまに強い人を最初とかに出すと他国達から大ブーイング」


「わぁーお…」


結局これといったいい方法も思い付かずにシャナと別れた。


「明日はどんな特訓しますか?」


「さすがに明日は休む…」


「わかりました」


明日からの1週間は本選に出た人は学校休んでもいい。それで休み明けの1週間後に対校戦が開かれる国に移動し始める。明後日にベスト4以外の対校戦参加者が選ばれる。シャナはほぼ確実に選ばれるだろう。ちなみに今年の対校戦開催国は神聖タグリオンだ。

明日は称号も増えた事だし効果の確認もしたい。それにエンチャントが2つできることになった事だし、俺が持っている魔法を全通り試したい。そして家に帰るとソフィに魔法で体を綺麗にしてもらってご飯も食べずにすぐに寝た。



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