第53話 謝罪

「時間もらっちゃってごめんね」


「い、いい、いえ、だだ、大丈夫です…」


まだこの学園で使っていい教室なんかも分からないのでこの教室で人がいなくなるのを待ってもらった。


「早速なんだけど的当ての試験のことで話があるんだけど」


「ご、ごご、ごめんなさい!ゆ、ゆる、許してください!な、なな、何でもしますから!」


「お、おち、落ち着いて!ん?今何でもするっt」


「なんでゼロ兄様まで慌ててるんですか。そしてその言葉は絶対に言わせませんよ」


ソフィに言われて少し冷静になった。泣きそうになりながら急に謝られたのでこっちまで慌ててしまった。


「謝らなくていいから」


「え…?私のせいで順位が下がったから、誰も居ない教室で集団リンチしようとしてたんじゃないの?」


「いや…そんなことしないから……」


俺らはどんな目で見られていたのか…入学してそうそうそんなことするやからなんていないでしょ…。


「的当ての的が壊れる寸前にしたのは俺たちなんだよね」


「ふぇっ!?」


「「「ごめんなさい」」」


3人で頭を下げて謝った。肝心のクラウディアさんを見てみると状況がわかっていないのかおどおどしている。なので最初から詳しく説明をした。


「えっと…つまり壊れたのは壊れる寸前だったからってこと?」


「うん」


「なんだ…良かった…」


そう言ってクラウディアさんは胸を撫で下ろした。


「どうしたの?」


「もし本当に私の魔法に的を一撃で壊せる威力があったとしたら威力をコントロールできないってことなので模擬戦とかどうしようと悩んでいたの」


「えっと…ごめんね」


「いや!もう謝らなくていいの!」


クラウディアさんがとても優しい子だというのがわかった。


「それで良かったらなんだけど、的を一撃でちゃんと壊せるようになるくらいまで魔法教えようか?」


「あの的一撃で壊せるの!?」


「壊せるよね?」


「はい」


(こくっ)


遊んでたのでわかるが、全力で魔法を放てば余裕で壊せると思う。


「本当に教えてくれるの?」


「うん」


「後でやっぱり面倒くさいから教えないとか言わない?」


「言わないよ…」


この子は集団リンチと言った時から思っていたがどんな環境で育ったのだろうか…。


「なら教えて欲しいな」


「わかったよ」


無事に謝ることができたので本当に良かった。そしてしっかり魔法を教えることも出来そうだ。


「ならお礼に私は回復魔法と聖m…あっ!浄化魔法!回復魔法と浄化魔法を教えてあげるよ!」


「せい?」


「回復魔法と浄化魔法を教えてあげる!」


「あ、ありがとう」


「いえいえ!」


せい何とかって言ったがなんだろう?ちなみに浄化魔法とは呪いを解呪する魔法である。これはソフィも取得してないので教えてくれると助かる。


「今日はありがとう!またね!!」


「あ、うん。またね…」


そう言って足早に教室を出ていった?ソフィとシャナと目を合わせてもみんなよく状況がわかってない状態だ。とりあえず俺たちも用は済んだので帰ることにした。


「シャナまた明日」


「シャイナさようなら」


「んっ」


校門でシャナと別れてソフィと2人で帰った。


「せい…なんて言おうとしてたのかな?」


「もしかして…聖魔法では無いですか?」


「いやいや!それは無いでしょ」


聖魔法は称号の聖女を獲得していなければ取得できず、効果も回復魔法と浄化魔法の完全上位互換である。そして回復魔法は部位欠損は治せないが聖魔法は死んでいなければどんな状態でも全て元通り治せる魔法だ。なおかつ、聖魔法は浄化魔法より強い解呪を行うことが出来る。さらに聖魔法の1番のすごいところは他人にバフをかけることができるらしい。本で見ただけなので本当かどうかは定かではないが本当だったらとても凄い。俺の【称号】収集で聖女を獲得できないかな?聖女は女性限定スキルだからさすがに無理かな?いや…頑張ればもしかするか…?



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