第39話 ランクアップ試験 シャナ編
「ここが訓練場だ!」
「おおー!」
案内された訓練場は意外と広く、サッカーコートくらいの広さはありそうだ。
「ギルド職員が来る前にアップしとけよー」
「はーい」
言われた通りにギルド職員が来るまでの15分間は走ったりして体を温めておいた。
「おまたせ」
「ギルド長!」
そして訓練場に現れた人を見てウォレスさんが慌てだした。ギルド長と言われた人は金髪の綺麗な若い人に見える。しかしギルド長になるってことは実年齢いくつなんd…
「っ!!!」
「あら…いい反応ね」
ギルド長の実年齢のことを考えていたら急に後ろから危機感知が反応して反射的に後ろに蹴りを放った。しかし蹴りはギルド長に片手で掴まれた。
「でも…女性の年齢を考えるのはいけないこと?」
(こくこくこく!)
「ふふっいい子ね…」
そう言って足を離してくれた。死ぬかと思った…返答次第では殺すよ?みたいな目をしててとても怖かった…。しかし俺はギルド長から目を離していないはずなのに気が付いたら後ろにいた。
「ランクアップ試験誰からやるの?」
「んっ」
「2番目は?」
「私です」
「じゃあ失礼な僕が最後ね」
ギルド長が順番を聞いてきてそれを紙に書いている。そしてギルド長はまだ俺の事を根に持っているのか?そして俺の意見は何も出させてもらえずに最後になった。まぁやるならやっぱ最初か最後が良かったので別にいいんだけどね。
「じゃあシャイナちゃんにはティラお願い」
「はい」
ギルド長が指名して相手が決まった。そして俺たちは貴族として冒険者登録した訳では無いのでギルド長もシャナのことを普通に呼んでいる。
「じゃあ準備はいい?」
(こく)
「はい」
「じゃあ始め!」
始まった瞬間にシャナが攻めに行った。そしてランクアップ試験は武器は刃がある普通の武器を使っている。もちろん相手に致命傷を与えてしまうような時は寸止めにしなければならない。
「鎖か〜珍しいの使うのね」
ティラさんは俺が足に巻かれて困った鎖を簡単に躱した。そしてどこからか取り出したナイフのようなものを鎖の隙間を通して地面に刺した。しかしシャナの判断は早く、鎖が上手く動かせないとなったらすぐに鎖を放棄した。
「それじゃあ本物の隠密を見してあげる」
「えっ…」
ティラさんがそう言った瞬間、俺はつい声を上げてしまった。シャナが投げたナイフがティラさんをすり抜けていった。
それにはシャナも驚いたようだ。そしてそこからはシャナが武器を使っても魔法を使っても全てティラさんをすり抜けていく。
「はい。終わり」
「参りました…」
「そこまで」
そして前にいるはずのティラさんがシャナの後ろから急に現れた。そしてシャナの首元にナイフを当てた。
「シャイナちゃんの隠密は12歳とは思えないほど上手。けど隠密は気配を隠すだけじゃなくて、いないところにいると思わせないとだめなの。いわゆる囮を作らなきゃ」
「…はい」
「あと、戦闘中はずっと探知していなきゃダメだよ。すり抜けるのを見てからやっても遅いの。戦闘中に何が起こるかをずっと観察しなきゃだめ」
「はい…」
そして勝ったティラさんがシャナにダメだったところをアドバイスしている。そして10分ほどのアドバイスと少しのレクチャーが終わって次はソフィの番になった。
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