第24話 訓練

「風エンチャント」


腰の剣を一本持って騎士団長に向かって行った。


「今回は!剣を持ってくれるのね!」


「いらないと判断したら仕舞うからな!」


「なら手放せないね!!」


騎士団長は1.5メートルほどある大剣を振っている。というかそれ模擬刀だよね?いや模擬刀でも当たれば怪我じゃすまなくない?


「あー…先に言っておくすまん!」


「なにがっ!?」


そう言われて何言っているんだ?と思ったが急に剣を振るスピードが増した。


「他の騎士相手なら寸止めか骨を折らない程度に当てるんだが…お前はそれだと当たる気がしないから骨の一本や二本は許せ」


「おまっマジかよ!」


「ゼロ兄様!怪我をしても私が治しますから安心して怪我をしてくださいね」


「なら安心だな!」


「どこがだよ!」


今の会話で分かるようにソフィは回復魔法を取得した。回復魔法はユニークスキルでは無いがスキルの中の魔法では取得するのが難しい部類である。


「お前はどんな反射神経してんだ?」


「どうした?」


「当たる気がしない」


俺は大剣など大きな武器に相性がいい。一発当たればダメージがでかいが俺は当たらない。


「うーん…ほんとすまんな」


「ほっ!」


驚いて声が出てしまった。何故かと言うと先程は綺麗な型で剣を振っていた。しかし今は悪く言えばめちゃくちゃ、良く言えば全く読めないような感じの振り方だ。


「お前は人じゃなくて魔物と思った方が良さそうだ」


「せめて人扱いはしようぜ!」


そして攻撃手段は大剣だけでなく拳や足まで使って戦い始めた。


「あ、あいつ何もんだ…」

「騎士団長相手に…」

「す、すげぇ…」


倒れていた騎士が意識を戻して俺たちの様子を見て驚いている。そしてソフィが自慢気にしている。


「ほう…よそ見とは余裕だな…」


「ちょっ!」


そう言うともっと荒々しく速くなった。俺はとうとう攻撃をいなしたり避けたりすることに手一杯になって攻撃を仕掛けられなくなった。ならもう魔法を放つしかない。


「燃やせファイアボール!」


「お前まじかよ!」


『ピコーン!』


『並行思考Lv.1を取得しました』

『開拓者を獲得しました』


およ?手は使えないので口で魔法を唱えて魔法を出せないかと思ったができた。


「おまっ…お前は!」


「?」


騎士団長は魔法を避けるために後ろに下がったためやっと休むことができる。


「自分が何をしたかわかってないのか?」


「え?魔法を使ったんだけど」


「近接戦闘中に?」


「そう」


「はぁー…」


それから説明してもらったのは近接戦闘中、それもさっきみたいな俺が手が出せないような余裕が全くない状態で魔法を使うのは異常らしい。道理で魔法剣士みたいな魔法と剣を両方使う人がいないわけだ。


「お前とやるのは疲れるよ」


「いい運動になるだろ?」


「それは間違いない」


「っ?!」


騎士団長がそう言った時に後ろから危機感知が反応したのでとっさに避けた。


「おいおい…これも避けれるのかよ」


「は、はは…」


気付くとすぐ後ろに騎士団長がいた。俺は目は離していないはずだ。どんなスピードしてんだ?


「うちの騎士たちも元気になってきたし、じゃあそろそろ終わりにするか…」


「っ!」


そして改めて大剣を構えると危機感知が大量に発生した。ちょい待て…この量は…


「お前の弱点は反射速度が早すぎるせいで攻撃の受け方がおざなりになっているところだ」


「はは…」


「今からそれを分からせてやる。せめて急所は守れよ?」


すぐにやばいと思い、もう一本の剣を手に取った。


「ぐはぁっ!!?」


「おー!三発ですんだのか!」


俺の身長以上ある大剣とは思えない速度で大剣を振って俺が反応しても防御しきれない量の攻撃を行った。三発ですんだじゃねーよ…三発も食らったんだよ…しかし急所は守って足一発、胸一発、脇一発にできた。絶対どっか骨いった…

そして最後の脇の時に吹っ飛ばされて壁に当たって静止した。そして俺の意識は遠のいていった。

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