第25話 訓練終了
「ゔ…ゔーん…」
「おはようございます」
「どのくらい寝てた?」
「十数分ほどです」
目が覚めると目の前にソフィの顔があった。また膝枕をされているようだ。体の痛みが少し取れているのでソフィが回復魔法をかけてくれたみたいだ。
「せいっ!」
「あの小僧よりも動きが悪いぞ!」
「ぐはぁっ!」
首を動かして騎士団長の方を見ると先程伸びていた騎士たちと訓練をしていた。
「おっ!気が付いたか!」
そして起きた俺に騎士団長が気付いたらしく声をかけてきた。
「起きたんならお前も混ざれ!」
「まじかよ…」
あの乱戦状態のあの場所に混ざれと?いや…どう考えてもきついでしょ。
「一回痛い思いをしたらもう怖いからできません。なんて弱いことは言わないよな?」
「はぁー…」
こいつは俺は煽ったら必ず乗ってくる低脳だとでも思っているのか?煽りもだんだん適当になってきてないか?
「よいしょっと…」
いつまでも枕にして寝ていたくなるソフィの膝から頭を離して騎士団長に向かって行った。
「火エンチャント!」
「よし!来い!」
そして俺は騎士たちに混ざって今日1日訓練を続けた。
「よしっ!今日は終わりだ!今日もおつかれさん!」
「はぁ…はぁ……」
終わる頃には夕方になっていた。一体何時間訓練したのだろうか?
「明日も…と言いたいところだが明日からは社交界の警備の打ち合わせがあるからできん。すまんな」
「明日もなんてさすがに無理だ…」
今日1日でも本当にきつい。騎士団長は俺がどこまで反射神経が良いか試すためとか言って騎士たち全員対俺という意味わからない模擬戦もやった。
「じゃあ気をつけて帰れよ!」
「ありがとうございました」
訓練をつけてもらったのでしっかりとした感謝の言葉は伝えておいた。こんな訓練をほぼ毎日やっている騎士たちは本当に尊敬す…る……
「ゼロ兄様…ゼロ兄様!」
「んおっ!な、なんだ?」
「寝てましたよ?」
「ごめん」
移動疲れもある中でこんな訓練をしてたらとてつもなく眠くなってしまっている。
「お姫様抱っこしましょうか?」
「絶対やだ」
俺とソフィはまだほとんど身長が同じである。なのでソフィが俺にお姫様抱っこをするのは不可能ではないと思うがかっこ悪すぎる。
「じゃあおんぶしましょうか?」
「大丈夫」
「肩を貸しましょうか?」
「大丈夫」
「お姫様抱っこかおんぶか肩を貸すかの3択で選んでください。あと10秒で選ばなければ強制的にお姫様抱っこにします」
「え…」
「10、9、8、76543」
「早い!早い!肩を貸して!」
「はーい!わかりました」
急に早く秒数をカウントするので慌てて答えてしまった。しかし妹というのはこんな強引なものなのか?前世でも妹は強引だった…….
「ゼロ兄様」
「んー?」
本格的に眠ってしまいそうだ。多分帰ったらご飯も食べずに眠ってしまう。
「今日はお疲れ様でした。かっこよかったですよ」
「ありがとう…」
そしてここからの記憶は曖昧で気が付くと朝になっていた。どうなったか聞くとほぼ寝た状態の俺をソフィが肩を貸しながら連れ帰って、一人だと溺れて死にそうだということで兄弟三人仲良くお風呂に入ってその後布団で寝たらしい。兄達二人によると少し目を離すと俺は風呂の中に沈んで行くので大変だったらしい。ご迷惑をお掛けしました……
そして社交界の日になるまで長男のアンドレイ兄様と訓練をしたりしていた。
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