第21話 深夜の魔物狩り

「雷エンチャント!」


そう唱えて俺はゴブリン達を倒しに向かった。


「はぁっ!」


「グゲェ……」


俺は騎士から貰った2本の短剣でどんどんゴブリンを倒して行った。


「ふぅ…」


「お疲れ様です」


「ありがとう」


ソフィはその時はファイヤボールをその場に留めるという器用なことをして辺りを照らしてくれていた。ソフィは特に魔物を狩って強くなりたいというわけではなく、ただ俺と一緒にいたいという理由でついてきているみたいだ。


「もう少し奥まで進んでいい?」


「私はゼロ兄様にどこまでついて行くだけですからご自由にどうぞ」


「ありがとう?」


「いえいえ」


そして俺はもっと奥まで進んで行った。



「ブモォ!!」


「ソフィは危なくなるまで手を出さないで」


「わかりました」


この前3人でやっと倒したオークが現れた。しかしレベルが上がって、雷魔法を存分に使っていいなら一人でも負けない。


「ブモモモォ!!」


「こい!」


そして俺は1対1でオークと戦った。


「ブ、ブモォ!!」


「ふぅ…」


別に今回はもったいない気もするがオークを殺したところで肉を持って帰る気は無い。魔石は持ち帰る。なので手段は問わず、ボロボロにしても殺せば勝ちだ。冒険者なら綺麗に仕留めることまである程度考えなくてはいけないらしい。

なので脂肪で中まで刃が届かないので邪魔な脂肪を斬り取っていく。


「轟けサンダーボルト」


「ブモォォォォ!!」


だいぶ斬られて焦ったのか隙が更に大きくなったので魔法を放った。さすがは雷魔法。脂肪がなくなりつつある腹に放ったら一撃で瀕死状態だ。なので首を斬って止めを刺した。


『ピコーン!』

『レベルが上がりました』


「おっ」


レベルが上がったようだ。しかしこの戦い方だと防御と魔防が伸びない。少し考えなくては……


「じゃあ魔石を取って帰ろうか」


「はい」


魔石を取って今日は終わりにする。しかし取っている途中にオークがもう一体現れたので今度はソフィと協力して倒した。


「ゼロ兄様…血が凄いので落としますね」


「気が利くね」


「濡らせウォーターウォッシュ」


「ありがとう」


「いえ」


水魔法はこれといった攻撃手段はなく、飲水や体を綺麗にするなどの便利な魔法である。しかし水は電気をよく通すので雷魔法と相性が良さそうなので何かできないか考えてはいる。


「では帰りましょうか」


「そうだね」


薄ら朝日が上り始めているので急いで帰った。



「…おはようございます…」


「もう帰ってきて4日目になるのですから寝坊はしないように」


「はい…」


深夜に魔物を狩って早く起きろは無理な話だよ…というかソフィも俺と一緒に行ってたのに当たり前のように起きてるのなんで?


「ソフィ…」


「なんですか?ゼロ兄様?」


「早く起きれるなら起こしてよ…」


「条件があります」


「なんでしょう」


「次からも必ずソフィを連れて行ってください」


「言わなくてもついてくるよね?」


「一緒に行こうと誘われて一緒に行くのと無理を言って一緒に行くのでは気分が違います」


あっ無理を言っている自覚あったのね…


「わかった…必ず誘うから起こして…」


寝坊を毎日するようなら母は寝ているか夜中にチェックしに行きます。なんて言いそうであるから起きなければならない。


「わかりましたっ」


ソフィは笑顔で嬉しそうにそう言った。そしてこのように時々夜中に魔物を狩りに行く。朝は訓練。その生活を続けていくとあっという間に2年が過ぎた。

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