第15話 謝罪?
「あの日は第三王子が迷惑をかけましたね」
「いえいえ!そんなご迷惑だなんて」
次の日にソフィアに対することで、後ろに居られた王妃様と王女様が騎士と一緒に謝罪に来られた。
「家にどうぞ」
父がそう言って家に案内した。ちなみに俺は庭で素振りをしていたが、別に俺に関することでもなさそうなのでそのまま継続して素振りを続けた。
「ゼロス様はいつも素振りを?」
「はい。まるでなにかに取り憑かれたように励んでいます」
「では、私が手解きしてもよろしいですか?」
「もちろん。こちらからお願いしたいほどですよ」
ガラガラガラ…
「ん?」
「私が稽古をつけてやろう」
庭へと続く掃き出し窓を開けて庭に騎士の人が1人入ってきた。
「木刀は?」
騎士の人は家の中に入る時に敵意がないことを表現するためなのか鎧も剣も装備していなかった。
「そんなものは必要ない。まず当たることは無い」
「へ、へ〜〜…」
確かに俺の方が圧倒的に弱いのは認めるよ?しかしこんな言い方をされるとさすがに少しイラッとくる。
「じゃあ掠りでもしたら俺のお願い聞いてもらってもいい?」
「なんでも聞こうじゃないか」
「なんでもなんて言っていいの?」
「騎士に二言はない」
「ならいくよ!」
「こい」
「燃やせファイヤb…」
「遅い…」
「がはッ…」
つぅ…当てればいいと言われたので魔法でやろうとしたがソフィのように上手くない。付け焼き刃程度の魔法では発動もさせてもらえなかった。しかも止めるために軽く腹を蹴ったぞこいつ…
「風エンチャント…」
「ほうほう…」
くそ…全く当たらない上に当たる気さえしない。
「素晴らしい反射速度だ」
「嫌味にしか聞こえないよ!」
「これでも褒めているんだ」
「ちっ!」
そして腕や足を掴まれて投げられるようにすらなってしまった。完全に動きが読まれている。
「ゼロ兄様!」
「え!ちょっ!?」
打つ手がなく悪戦苦闘を10分弱していると、扉からソフィに声をかけられた。少しソフィの方に意識を向けるとソフィが木刀を投げてきた。
「ソフィア様が俺に当てても意味ないぞ」
「火エンチャント」
しかし俺の高速反射は素晴らしく、飛んできた木刀を片手で掴んだ。しかも咄嗟に片手だけでは今の握力では振り回せないと判断してエンチャントを火属性に変更した。
「はっ!」
よしこれで当たる!と思った。今は空中で右手で首、左手で脇腹を挟むように狙った。
「ふんっ!…あっ!すまん!つい…」
こいつ…あろうことかその状態の俺の頭を掴んで地面に叩きつけたぞ…加減はしているのだろうが普通に痛い…
「でも俺の勝ちだ…」
「むっ…」
俺の木刀は騎士の足に当たっている。これが本物の剣だとしてもかすり傷が付くかどうかの触れただけだがこの勝負では俺の勝ちだ。
「あはははっ!まさかこの俺が負けるとはなっ!」
「勝ったけど…普通にいてぇ…」
「悪い!悪い!ついなっ!それで俺に何を願う?」
「明日に森の中に入って魔物を殺す手伝いをしてくれ」
「俺にパワーレベリングをしろというのか…?」
少し騎士の雰囲気が変わった。それはそうだ。この世界ではパワーレベリングは軟弱な考えだとされている。確かにレベルが上がればステータスは上がる。しかしそれまでにやってきたことが反映されてステータスの上がり幅が決まる。そのため、何もせずにパワーレベリングをするとレベルが高いけどステータス自体は雑魚になってしまう。
「いや!後ろで俺の安全を守るから森に入っても問題ないと両親に説明してほしい」
「あくまで説明だけだと?」
「もし命に関わる状態になったら助けてほしい。けど手を借りたら即帰宅でいい」
「さっきから話を聞いていましたが…なんでゼロ兄様だけが行くみたいになっているのですか?」
「え?だって…」
「誰のサポートがあって勝てたんでしょうか?それなのにゼロ兄様は私を置いていくというのですか?」
「えっと…ついてきたいの?」
「なぜついて行きたくないと考えているのですか?」
「えー…ソフィアも一緒になりました」
「お、おう…」
ソフィに押し切られたのを見て騎士の人が若干引いている。
「じゃあ明日の朝にここに来るからな!」
「お願いしますねー!」
意外と両親の説明は呆気なく終わった。お前ならそれで問題ないだろうとのことだ。もしかしてこの騎士は俺が考えているよりも位が高いのかな?
「ねぇ…」
「ん?」
馬車に乗る瞬間に王女様が話しかけてきた。
「…なんで雷魔法使わなかったの?」
「え!はっ!!!?」
なぜバレている!?ステータスには偽装をかけているので鑑定とかでも分からないはず。というかまだお披露目したくないという個人的な理由だしどうやって言えばいいんだ…
「そっか…わかった…」
「えっ?」
いや!何がわかったの?俺は何も言ってないんだけど!
「じゃあね…また明日…」
「ま、またねー…」
まじでなんなんだよ…この子…
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