第14話 別視点

「それでどうだった?」


「はっ!第三夫人様は国王陛下の意図を理解していませんでした」


「はぁー…やはりか…」


儂が最初の挨拶で少し砕けた口調を使って、今日は無礼講で行こうというのを全く理解していなかったのか……。


「それでデモンドはどうだった?」


「はっ!横暴な態度が目立ちました」


「はぁ…」


「そしてアドルフォ辺境伯の娘のソフィア様に正妻にしてやると仰ってました」


「なんだとっ!!?」


儂は椅子から立ち上がるほど驚いた。あいつは…なんてことをしてくれたのだ…。グレアムは初めての娘が可愛くて仕方がないと自慢を良くしている。そんなやつの娘に…。あいつを敵に回すと戦力としても大きな痛手を受けてしまう。


「それでどうなった…」


「はっ!ソフィア様は許嫁がいるからとお断りしました」


「む?」


確かグレアムは絶対よそに嫁なんかに出さんと言っていたはずだ。ということは咄嗟にそう言ったということか…。これは相当頭がいいぞ。


「それで事なきを得たわけか…」


「いえ、しかし…」


「まだなんかあるのか…」


もう勘弁してくれ…といのが本音だ。


「息子のゼロス様の方がエンチャントを発動して第三王子様を攻撃しようとしました」


「なに!もうエンチャントを使えるのか!」


鬼才のグレアムと言われたあのグレアムですら取得したのは9歳の頃で使いこなせるようになったのは12歳の頃なのに…。わずか8歳でもう使いこなしているか…。


「しかしソフィア様がそっと止めていました」


あの家系は戦闘力が高いと言われているが全員尻にしかれている。もうその兆候があるのか…。


「もしそのまま攻撃してたらどうした?」


「その場で取り押さえるつもりでした」


「本音で良いぞ」


「その場で少し揉んでやろうと考えてました」


「アンドレイと比べてどうだ?」


「エンチャントを含めて考えると素質ははるかにゼロス様の方でしょう」


ほう…既に上級生も含めても近距離戦では敵無しと言われ始めたアンドレイよりも伸びしろがあると…。


「ゼロス様に至っては私が直々に見たいほどです」


「ほう…お前がか…」


いくら儂の息子を見せてもそう言わなかったこいつがそこまで言うほどか…。


「それでシャイナはどうだった?」


「第二王女様は良くも悪くもいつもと変わらないご様子でした。しかし…」


「しかし?」


「ゼロス様がエンチャントをしかけた時に口角が上がりました」


「あのシャイナが…」


スキルを得てからシャイナが表情を変えているところも誰かと話しているところも見たものはいないだろう。そのシャイナが…これは少し面白くなったな。


「ありがとう。下がって良いぞ。騎士団長」


「はっ!」


しかし本当に面倒事を起こしてくれたものだ…。これは詫びを入れなければならないな…。

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