第13話 社交界パーティー2
バタンっ!
扉から王冠を被った人とともに女性が2人、男の子と女の子が1人ずつ入ってきた。
「ふぅ…」
そのことによってやっと大勢の視線から逃れることができた。
「この度は私が主催したパーティーに来てくれてありがとう。今宵は子供の成長を喜びながら楽しくやろう。では…乾杯っ!」
「「「乾杯っ!」」」
国王が挨拶をしてパーティーが正式に始まった。しかし国王は忙しいみたいですぐに会場から出ていった。そしてパーティーが始まったからといってまだ誰も食べ物に手をつけてない。なぜなら王族に挨拶を行かなければならないからだ。それも位の高い順に行っている。あーあ…せっかくの美味しそうな料理がもう完全に冷めきっている。
「ゼロス、ソフィア行くぞ」
「「はい」」
そしてとうとう俺らが挨拶する番になった。
「この度はご招待ありがとうございます」
「いえいえ。そちらの子も良くお育ちのようで」
「いえいえ。私の愚息ではそちらのお子さんほどではありませんよ」
「いえいえ…」
「いえいえ…」
何だこの会話は…本当にただのご機嫌取りでしかない。それにしてもこいつ…おっと、このお方ばかり喋っていてもう1人の国王の妻と娘と思われる人達はただ黙って後ろにいる。同じ国王の妻でも立場が違うのか?この国は一夫多妻制となっている。うちは貴族では珍しい一夫一妻だ。なんでも母が他の女を作らせなかったそうだ。
「決めた!」
うおっ!急に喋っている国王の妻の息子が声を上げたのでびっくりした。娘の方は綺麗な顔をしているのに、こいつは…うん、お腹が少し出てないか?
「何を決めたの?」
「おいっ!そこの女!お前を俺の正妻にしてやる!ありがたいだろ!」
「風エンチャンt…」
こいつ…ソフィのことをそこの女だと?それに正妻にしてやる?だと…頭に血が上り、1発殴ろうとエンチャントをしようとしたがソフィに見えないように抓られてエンチャントできずに終わった。
「申し訳ございません。私には生まれた時からの許嫁がおりますので残念ながらお応えできません」
「なら入学前には断っておけよ」
え?ソフィに許嫁なんていたの…?俺知らなかったんだけど…
「では…」
挨拶が終わって離れてもソフィの許嫁が気になって仕方がなかった。
「では、今日はここでお開きとする!皆気をつけて帰るように!」
国王が戻ってきてそういった。そしてパーティーはお開きとなった。
「ソフィ…」
帰りの馬車でいてもたってもいられずにソフィに許嫁について聞こうとしたがなんて聞けばいいのか分からずにいた。
「ふふっどうしたのですか、捨てられた子犬のような顔をしてますよ?」
「いや、だって…」
「私に許嫁なんていませんよ」
「え?」
「あの時は断るにはそう言うしかなかったのですよ」
「え!そうなの!」
「ソフィに許嫁なんていないぞ。作らせる気もないぞ」
「そ、そっかー…」
なんだ…許嫁なんていなかったのか…別にソフィのことを好きというわけじゃないがかなり動揺してしまった。
「ゼロ兄様…」
「ん?」
ソフィが問いかけて来て手招きして耳を出せって言っているのでソフィの方に耳を向けた。
「(私が結婚したい人は小さい頃から変わっていませんよっ)」
「っ!?!そ、それって…」
「ふふっ」
ソフィが昔結婚したいと言っていたのって…。詳しく聞こうと目線で要求しても笑って誤魔化されてしまう。気になって今日は寝れそうにない……
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