第12話 社交界パーティー1
「で、でかーーっ!」
盗賊や魔物が出るなんてことはなく、予定通り6日で王都に着いた。着いた瞬間まず王都の囲っている塀の大きさに驚いた。俺らの街では2メートル弱程だったがここでは4メートル近くはある。
「こちらを」
「はっ!辺境伯閣下!確認が取れましたのでどうぞ」
「ありがとう」
貴族と平民では入る門が分かれている。平民の方は今も長い列を作っている。
「おぉ!!」
街も賑わっていて屋台も数多くある。
「ご苦労さま」
「いえ!次は1週間後でよろしいですね?」
「ああ」
帰りもウォレスさん達に護衛をしてもらう。余裕を持って家を出たので社交界パーティーは3日後にある。
「外行ってもいい?」
「危ないからアンドレイが帰ってきたら一緒に行きなさい」
「はぁーい」
辺境伯ともなると王都にも屋敷を持っている。その屋敷にアンドレイは住んでいる。そして今は俺たちもその屋敷に滞在することになっている。
「ジャドソンも来ればよかったのにねー」
「あいつはこうしたのは嫌いみたいだからな」
次男のジャドソンは家に籠って書物を読んだりするのが好きなので王都には来なかった。
そして休みの日にアンドレイ兄様に街を案内してもらったり、家の庭で素振りをしたり、ティラさんに教わった歩き方と気配の消し方を練習したりしていたら早くも3日後になってしまった…
「はぁ…行きたくない…」
「ゼロ兄様…そろそろ覚悟を決めてください」
社交界用の堅苦しい服を着させられて馬車に乗った。それにしてもソフィはドレスがとても似合っている。ほんとに俺と遺伝子同じか?って言いたくなるほどかわいい。
「で、でかい……」
会場は王城の一室のため王城に向かったが見えた王城はとても大きかった。うちの屋敷も大きいと思っていたがこれは比較にならない。
「では、ソフィア、ゼロス行くぞ」
「はい…」
「はい」
そう言われて父の後ろについて行った。
「招待状を」
「こちらに」
「確認致します……アドルフォ辺境伯様ですね。確認ができましたのでこちらにどうぞ」
「ありがとう」
王城での貴族たちが集まるパーティーということで警備もしっかりしている。
ギィー…
でかい扉を押してパーティー会場に入った。真ん中付近に食べ物や飲み物が置いてある。しかしまだ主催者の王族が来ていないので誰も手をつけていない。
「はぁ…」
小声で誰にも気付かれないくらいのため息をついた。
「お父様!あの子誰?」
「かわいい…」
「ぽーっ…」
男の子が全員ソフィの方を向いている。ちらっと見るくらいなら可愛げがあるかもしれないがほとんどがガン見をしている。一応俺もイケメンと自負している。しかし隣にいる相手が悪く、みんなソフィに気を取られている。もしかして俺いなくてもバレなくない?そう思ってティラさんに教えてもらった技術を総動員した。
『ピコーン!』
『忍び足Lv.1を取得しました』
『隠密Lv.1を取得しました』
「(ナイス!)」
やはり何十と練習しても一の実践には及ばないのか。これで俺は離脱できると喜んだ。
ガシッ!
「え?」
そーっと距離を取っていっていたのに袖を掴まれてしまった。
「ゼロ兄様?どこに行くのですか?」
「………」
ちくしょう…作戦は失敗だ。なぜバレたのだ!
「ふふっ私がゼロ兄様を見失うはずがないですよ」
そもそもソフィから離れようというのが無理な話だったようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます