第8話 初訓練

「俺たちが冒険ギルドからやってきたウォレスだ。それでこっちがリゼットだ」


「リゼットよ。よろしくね」


「「よろしくお願いします!」」


とうとう訓練が始まった!これまでは足の運び方や庭で模擬刀を少し振ったりしただけでちゃんと戦闘訓練なんてものをしていなかったから楽しみだ。

ウォレスさんは剣を携えていてリゼットさんはローブに杖を持っている。


「ではウォレスさんにゼロス、リゼットさんにソフィアでお願いします」


「了解です」


そう言って広い庭で俺とソフィアは離れ離れになって訓練を受けることになった。


「ゼロスはこうしてちゃんと訓練するのは初めてなんだよな?」


「そうです!」


「ならとりあえず全力で俺にかかってこい。それを見て何をするかを決める」


「魔法あり?」


「お前近接戦闘じゃないのか?」


「そうだよ?」


「まぁなんでもありだ」


「じゃあ行きます!」


「おう!」


俺は父が準備していた子供用の木剣を1本持っていて、ウォレスさんは大人用の普通の木剣を持っている。まず勝てるわけはないので胸を借りるつもりで本気で行かせてもらう。


「風エンチャント!」


「うおっ!」


もともと子供で体力は無いのでエンチャントをかけて短期戦にするつもりだ。エンチャントをするとすぐにウォレスさんに向かっていった。急にエンチャントなんてものをするのでびっくりされたがステータス差的にはエンチャントしても雀の涙ほどしかないので難なく防せがれた。


「はっ!はっ!」


「おうおう!筋がいいじゃないか!」


「火エンチャント!」


「おおっ!パワーが増したな!」


そして打ち合いになったが結局俺のMPがなくなって終わりになった。MPが無くなると死んでしまうのでは?と最初は恐れていたが体がだるく重くなるだけで命に別状は全くないらしい。


「面白い技を使うな!でも基本がなってない!」


そしてそこから基本の振りから相手のどういうところが隙になるかとか剣を交えるにあたっての基本を教えて貰って今日の訓練が終わった。



「ありがとうございました!」

「ありがとう…ございました…」


「いや!俺らも楽しかった!じゃあまたな!」


訓練は午前だけだがこんなに激しく動き続けたのは初めてなのでとても疲れてしまった。


「じゃあ俺が言ったことちゃんとやっておけよ!」


「はいっ!」


冒険者にも仕事の都合があるので1週間に1回しか訓練はない。ちなみにこの世界では1週間が6日で曜日としては火、水、風、土、光、闇となっていて基本光と闇の日が休みとなっている。ちなみに訓練の日は闇の日となっている。そして1ヶ月は5週間で1年は12ヶ月となっていて1年は360日だ。



「ゼロ兄様には午後から私が教えてもらった魔法について教えますね!」


「え…?明日じゃだめ?」


「何を言っているのですか?明日は私が出された課題を一緒にやるんですよ?」


「俺の課題もあるよ?」


「それも明日やるんですよ?」


「俺きつくない?」


「ゼロ兄様ならできますよね?ちゃんと頑張りましょうねっ!」


「はい…」


どの世界でも妹は俺にきついようだ…逆になんだか懐かしい気分になっている。先に死んじゃったけど妹は元気にやってるといいな

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