第2話 特典
「俺を殺したのはお前だよな?」
「な、なんのことかな?」
そこで誤魔化そうとするのにびっくりだ。
聞こえた声と全く一緒なので誤魔化せるわけがないのに。
「だ、だって!あんたが全然死なないんだもん!」
白い目で見ていたら自分から白状した。白状したはいいけど言い訳が酷すぎる。
「なんで殺そうとしてるんだよ!?」
「人の寿命は決まってて今日があんたの寿命なの!」
「理不尽すぎる……」
こんなことがあっていいのか?いや、あっていいわけないだろう…
「普通は最初…もしくは2回目で死ぬのになんであなたは10数回やっても死なないの!!」
「知るか!!」
そして今度は逆ギレをしてきた。
「というかあなたはなんで私に見とれないの!」
「はぁ?」
確かによく見ると綺麗な金髪ロングの綺麗とも言えて可愛いとも言えるまさに黄金比率と言わんばかりの容姿をしている。
「ここに来た人はまず女神である私の美しさに見とれることから始まるの!」
「俺にはお前よりも断然綺麗な可愛い妹がいるからな!」
「はぁ〜!?」
そして俺は見た目よりも中身を重視する。いくらこいつの見た目が良くても中身がドブのように汚いやつに見とれるわけが無い。
「わ、わ、私の中身がど、どど、ドブ……?」
あ、心の中まで読めるのね。そして読んでしまったのね。ご愁傷さま…
「は、はは…ははは……」
どうやら壊れてしまったようだ。寿命と決められていたとはいえ一応人を殺したのだからこれくらいの復讐は許して欲しい。
とりあえず治るまでそっとしておこう。
「はは…は、あっ」
「ん?治ったか?」
どこかへ飛んでいっていた眼がやっと戻ってきた。
「私はもともとおかしくないわよ!!」
「はいはい。それで転生の件は?」
「あっ!忘れてたわ!」
こいつ本当に女神なのか…?こいつが女神で大丈夫なのだろうか?
「ちなみに転生者に選ばれたのは完全な運よ!たまたまよ!良かったわね!」
それは良かったのだがこいつに言われるのは腑に落ちない。
「ちっ!スキルを一つ選ばせてあげるわ!」
「一つだけ?」
「普通は一つもあげないのよ?一応少しは悪いと思っているから一つあげるのよ?感謝しなさい!」
こいつ…と思ったが心の中を読めるやつの前でわざわざ悪口を考えるのもどうかと思うのでそこで思考を止めた。
「じゃあ他者からスキルを奪う強奪系のスキルちょうだい」
「みんなそればっかりだからつまんない。ダメ」
「は?」
こいつ何言ってるんだ?そう思ったが口に出すのをやめた。しかし心の中を読めるこいつにはわかったようで睨んでいる。
「じゃあスキルとか創造する創造系スキル」
「それもだーめ」
「………」
「じゃあガチャ系のスキル」
「それも最近増えてるから飽きた!」
「………」
「重力とか空間を操る…」
「それも多い!だめ!」
「………」
「ちなみに鑑定とかアイテムボックスとか在り来りなのもだめね」
こいつは俺にスキルを与える気はあるのだろうか?
いや…ないな…うん。どうしようか…
「あと10分でなんか思いつかなかったら何もなしで行ってもらうからね〜」
「はあ!?」
「あ!でも安心して生前にできていたことがスキルとして残るからスキルが0になることは滅多にないわよ。あんたの事だから危機感知とかは取得できるんじゃない?結構レア度高いわよ?」
そんなことより俺はスキルを考えることに忙しい。思いつかなかったらスキルを渡さないとか横暴すぎるだろ。
「コピー」
「だめ」
「複製」
「だめ」
「模倣」
「だめ」
「オマージュ」
「だめ。そしてさっきからほとんど意味変わってないよね!」
「ちっ!」
こいつは頭があんまり良くなさそうだからこれで騙されてくれるかと思ったがそこまで馬鹿じゃないのか…絶対オマージュなんてスキル持ってるやついないだろうに…
「じゃあ収集」
「大雑把すぎ。だめ」
「スキル収集」
「だめ」
「ステータス収集」
「だめ」
「アイテム収集」
「だめ」
もうこいつが気に入るスキルを言えるか大会みたいになってきている。こいつ何が好みなんだよ…知らねぇーよ…
「能力収集」
「だめ」
「【称号】収集」
「それちょっと面白そう。詳しく」
思いつきで言っていたやつを急にプレゼンしろと言われても難しいだろ!このいい加減女神め…
「称号とかあるの?」
「あるよ〜」
「どのくらい?」
「ほぼ無限?」
「効果は?」
「結構良い奴もあるよー」
あと時間も1分くらいしかないからここで決めるしかない!
「【称号】収集は称号の獲得条件の緩和と限定条件の廃止」
「限定条件の廃止?」
「例えば獣人限定のやつを取得できるようにするとか」
「なにそれ!?面白い!採用!」
「ただ限定の称号を持ってるのバレたらまずいからステータスを隠すスキルも欲しいのだけど」
「了解了解!」
おっ!なんか要望が通ってスキルが貰えるみたいだ。
「よし!おっけー!あとなんかして欲しいことある?」
「できれば辺境伯とかのモンスターと戦えるところの三男くらいが嬉しい」
「おっけー!」
「許嫁とかいなければより良い」
「それは生まれたあとの事だから知らなーい」
ですよね…そこは別にある意味どうでもよかったが今の状態ならなんでも願いが通るかと思ったがそうでは無かった。
「じゃあ行ってら!」
「え?もう!?」
「ステータスは念じれば見れるからねー」
「え!?ちょっ!」
「ばいばーい!!」
そう言われて俺は早速転生させられてしまった。
「蔑まれるのもちょっといいかも…」
性癖が少し歪んでしまった神様を残して……
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