和風ファンタジーと魔法①

 以前、自作でファンタジー世界における魔法全般について論じたことがあります。(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885065186/episodes/1177354054885118196)しかしそれは全般においての魔法論で、特に和風ということになると、また多くのことがらについて考えることができそうです。楽しみですね!



〈漢字と魔法〉

 タトゥーを入れている外人さんのそれをよく見てみると、実は漢字だったりすることありますよね。おそらく漢字を使わない人々にとって、漢字はヒエログリフや楔形文字のような、かつ神秘的なものなのでしょう。これは使わない手はありません(あ、ちなみに漢字という名前すら変えてみてもいいですね。魔標とか)。たとえば


 設定1:その世界では漢字が魔法発動の要因であるが、その漢字は一般的に使われておらず、神職者や魔法学者のみが知る神聖文字である。

 設定2:その世界での漢字は古代人の使っていた文字で、もはや今を生きるものは誰も知らない。ただ数人の魔法使いが、漢字の知識を持っており、強大な魔力をほしいままにしている。

 設定3:その世界では一般民衆もある程度の教育水準であれば漢字を識字することができるが、特定の字体、特定の扱いをすることで魔法発動ができる。


 などが考えられます。設定2はとてもロマンがありますね。漢字、魔法文字を火種にして戦争が起きるかもしれませんし、その賢者がことごとく殺されたりしたら、強大な魔力を持って魔法大国が建国されるかもしれません。設定3の特定の字体は、例えば現実で印鑑に使われる「印相体」とかがこれに当てはまるでしょうか。



〈魔法と言霊〉

 言霊ことだまは、古代日本において「言葉に宿るとされていた特別な力」のことです。そういう信仰があったからこそ、万葉集がまれ、和歌が詠まれ、そして祝詞が奏上されていたのでしょうか。

 それはともかく、ファンタジーにおける魔法はとても曲者です。何をもって発動するか、何が発動の素因となるか、そもそも魔法はどこまで影響を及ぼすのか……などなど。だからこそ、言霊という設定を導入することで、その方向性が定まりやすくなるのです。幸運です。

魔法設定1:単語を発音すると、その単語の意味に即した現象が起こる(現象の程度は術者の魔力に依存する)。例えば、「火よおこれ」といえば、灯がともる。

魔法設定2:今はすでに意味が失われた「古代語の語句」を発音すると、その言葉に即した現象が起こる。例えば、「れいよよかに」といえば、目の前の植物が生長する。

魔法設定3:意味のある言葉を発音した後杖など魔力媒体を用いることで、その単語の意味に即した現象が起こる(現象の程度は術者の魔力に依存する)。例えば、「光あれ」といった後、杖を振るえば暗視能力が手に入る。


 などです。ひとつ気を付けたいのは、ただ単に意味のある言葉を発音するだけで魔法が発動されるとしてしまった場合、子供が「火おこれ」といっただけで火事になる危険がありますし、また冗談で「殺すぞ」と言ったら、そういわれた方が死んでしまいます。そうならないために、効果は魔力に依存するとか、あるいは言霊は、一般人はしるよしもないような古代語のみ持つものという設定を設けておきましょう。


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