3.魔法の仕組み
説明が大変になるので、ここではすべて、魔法は「構築アイデア①:組合せ」にのっとって説明することにします。
「発動するために」
さて、魔法を発動するには、どのような手順を踏まなければならないのでしょうか。いくつか例を挙げていきます。
①本人が魔法を「使う」と念じる→発動
②本人が魔法の呪文を詠唱→発動
③魔法を「使う」と念じる→魔力を出力→(杖などで)魔力を増大→発動
④魔法を「使う」と念じる→魔法の媒体となるもの(精霊など)が集まる→発動
まだまだ他にもアイデアがある気もしますが、ここら辺でやめておきましょう。
①は、最も単純です。「単純型」と名付けましょう。単純型の場合、あまり魔法というものを深く作りこまなくて済むのですが、読者にファンタジー世界の醍醐味を感じさせるには少々力不足でしょう。しかも、ここまで簡単に魔法が発動できれば、万人が、ましてや小さな子供までもが魔法使いです。生後三か月の赤ちゃんが近くのものを浮遊させ、5歳の少年少女が掌から炎を出してしまう世界。きっとその世界の子供は、10歳になった頃には猛獣にでも変身しているのでしょうね! これは大変です。もしこういった作品を書く予定のある方は、是非ともご連絡ください。私、ハチャメチャな世界に興味がありますから。
魔法の意義を考えてゆく際に、魔法=科学と置き換えましたね。さて、ここでもう一度置き換えてみると、小学生が微分積分や図形の性質、三角関数などを駆使してロボットを作ってしまうようなものでしょう。
②は、「詠唱型」。これくらいになると、設定にリアリティーが出てきます。いや、ファンタジーに”リアリティー”を求めるというのもなんだか妙な気もしますが......、少なくとも、「単純型」を導入した荒唐無稽な世界よりは、親近感がわきませんか?
詠唱ですから、魔法や属性、魔元素に名前を付け、それから詠唱する際のルールも決めておかねばなりません。また、もう一つの問題は、詠唱の意義を考えなくてはならないことです。しかしこれはある意味当然です。何の意味もなく詠唱するのなら、初めから詠唱がないことと同じです。
考えられる設定は、その世界では超自然的存在(神など)が魔法を司っていて、神に祈り(魔法詠唱)をささげることで人間が魔法を使役しているように見える、とかですかね。ただし、この設定も、さらに言えばなぜ人間が神に届く言葉(詠唱の文句)を知っているのかという疑問を解決しておかなければ、いずれ物語を作る際に矛盾が生じるでしょう。
③、「増幅型」。人間の体内だけでは魔法を使役するのに不十分という世界では、魔力を増幅する道具の使用が不可欠です。それが例えば杖だったり、ネックレスだったり、宝石だったりするわけです。この設定について、二つの考察があげられます。
一つ。魔力を増幅するということは、少なからず人間の体内に魔力があるということです。それを踏まえて、今度は人間にある基礎魔力とは何なのか? どこから来るのか? そしてその力はどこへ行くのかということを考察する必要があります。
原子・分子が世界を回り、質量保存の法則が世界に浸透しているように、魔法も使った際には何かしらの代償が必要でしょう。最も簡単なのは、「魔力」というそのままの力を作ります。便宜上、魔力も人間が体内から生成できるとしておきます。すると、「ドラゴンクエスト」シリーズのMPがそれにあたりますね。体力と同じように、魔力も使えば使った分だけ疲労し、術者の限界が来ると使用ができなくなる。最も単純かつ明快なものです。その分、構築の楽しみは薄れていき、ファンタジー世界の幻想的な部分が霞んでしまうという欠点もあります。
二つ目。魔法が体内で生成出来たとしても、それが小さかった場合に増幅を試みるということなので、別に魔力が大きければ杖などの増幅装置は持たなくてもいいことになります。すべての術者に何かしらのアイテムを持たせたいのであれば、いくら術者の魔力が強くても杖などが魔法の媒体であるため、素手では魔法を発動できないというような設定にしてみてはいかがでしょうか。
そして最後の④は「魔力他源型」です。これは人間は魔法を使うとこはできないという、少々悲観的な要素を含んでいる気もしますが、それによりうつけものを含んだ万人が魔法を発動するといった惨事を避けることが出来ます。
魔法の媒体は、精霊などの「超自然的な物体」と、空気や水といった「一般的な物質」の二種類が考えられますが、作りやすいのは精霊です。後者が魔法の媒体として設定すると、それらは世界にありふれているので、常にその存在を頭の片隅に置いて作品を作らなくてはなりませんから、非常に面倒です。
前者の「超自然的な物質」ですが、これもなかなか曲者ですよね。精霊、もしくは瘴気か……。この二つがそのテンプレでしょうか。あまり思いつきませんが、悩んではいられません! ここでは思い切って精霊としておきます。矛盾が生じるようであれば、あとで修正すれば良いのですから。
というわけで、今回は魔法発動について考察しました。「精霊」について触れる前に終わっていますが、これは次回投稿予定ですので、ご心配には及びません。
まとめ:「魔法の仕組み」を作成しなければ、その先に進むことは出来ない。ここでは四つほど例を上げたが、言うまでもなく「仕組み」は他にも存在する。上手に取捨選択して欲しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます