4.精霊
さて、魔法の媒体が決まればこっちのものです。次は媒体になりうる精霊についてです。ここからはこの不思議な存在について定義付けをしてみましょう。
「定義」
精霊は先ず、目に見えるのか、見えないのかを決めておくと、イメージがわきやすくていいですね。精霊たちが活躍する話の場合、見えてもいいとは思いますが、そうしますと"妖精"との区別がつくか心配です。
次に決めるのは、存在する場所です。超自然的存在という設定を作るのであれば、陸海空森羅万象あらゆる所に存在するとして差し支えないでしょう。でもこれだとなんだかありがたみがないという風に思われる方もいらっしゃるかと思います。その場合は、大木や神秘的な泉、砂漠の一枚岩など、いわゆるパワースポットのような場所に住み着いていると定義してみましょう。そうすると「超自然的」という性質は失われるものの、人間にとって不思議な存在であることは変わりありませんので、そこまで世界に影響を及ぼすことはありません。
「役割」
前項では、精霊は魔法の媒体として登場してもらいましたが、今回は彼らの他の役割も考えてみましょう。
・長寿の象徴で、長年世界にとどまっていた命・物に宿り、それを守護する。
・動植物に宿り、魔力を授ける。
・寿命が尽きた生物の命を刈り取りに来る。
・言葉として。
と言ったものが挙げられます。一つ目・二つ目は自然とのかかわりが強く、三つ目はどちらかというと超自然的役割です。神の使者としての描写も似合います。四つ目が「!?」という方もいるでしょうが、これは日本の「言霊思想」からアイデアを得たものです。言霊は、「言葉に宿る霊力が、現実の物事の結果に作用する」という思想ですが、その霊力を精霊に置き換えてみるとどうでしょうか。しっくりきませんか? ですがこの設定がある場合、会話が成り立つのでしょうか……。言霊思想による言葉の制限が嫌であれば、精霊語のような独自の言語を作ると吉です。また、太古の人類が使っていた古代語には、精霊を使役する能力があるという設定も多くの世界になじむのではないでしょうか?
「発生」
媒体とはつまり、魔法を導くと同時に、その力を促進させるものです。化学変化で利用される触媒と同じようなものだと想像していますが、その起源がはっきりしないと、せっかくの設定が頭でっかちになってしまいます。
精霊が超自然的存在ならば、神からの使者(=天使)ということで成り立ちますが、自然と強いかかわりがある場合、そうはいきません。はて、どうしたらいいのでしょう。
こんなアイデアはどうでしょう?
【その世界では、動植物は二度死ぬ。一度は生体の死。そして二度目の死は、精神体の死である】
つまり、生命はその寿命を終えると、今度は第二の精霊としての生涯が始まることになっているというのです。この時重要なのは、精霊も死ぬということです。滅するといったほうがいいかもしれませんね。でないと世界に精霊が溢れかえる事態に陥りますから。
この世界では――少々不謹慎ではあるかと思われますが――例えば大災害で多くの動物や人々がなくなったとき、精霊が世界に大量発生するわけです。もし精霊が見えるとすれば、夜景はたいそう神妙なものとなるでしょう。最愛の人に先立たれた不幸な主人公がその風景を見れば、物語が悲劇的にならないわけがありません。
まとめ:「精霊」が魔法に関わってくる場合はやはり定義と役割を決めておくべきだ。妖精を登場させる場合も同様(区別化を計るため)。
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