5.魔法はだれのものか

 「万人が魔法を使う世界」

 私も、皆様方も、魔法を使いたいという願望がないわけがありません。皆、魔法が使えないからですね。そしてこの裏を返せば、「万人が魔法を使う世界」が出来上がるわけです。


 この世界の人間は、おそらく体内で魔力を生成できるのでしょう。「単純型」「詠唱型」「増幅型」がこれにふさわしい定義です。


 皆が魔法を使えるならば、魔法の発展はすさまじいものとなります。魔法教育や魔法に関する法律が定めれら、魔法の発動を簡易化する装置が開発され、挙句の果てにはこの「魔法」の仕組みを理解している民衆は少なくなるでしょう。現在私たちも、科学技術を使ってスマートフォンやテレビを駆使していますが、その仕組みを完璧に理解している人は少数で、多くの人にとってそれらはブラックボックスと化していますから。


 また、その世界で使われる魔法体系の設定にもよりますが、もしテレポーテーションの魔法が通用するとして、それをそこまで苦も無く習得できるとしたら、犯罪が横行するのも目に見えます。魔法刑事法などが制定されていたとしても、だれがいつ、またどのような魔法を使ったかなどを感知する魔法があるわけがありませんし、その膨大な情報をいったい誰が管理できるというのでしょうか? 


 万人が魔法を使える世界は、使える人と使えない人との間でいざこざが起こらないのは良いことです。ですが下手に導入すると、構築の際このように大きな弊害も起こるでしょう。



「特定の者が魔法を使う世界」

 こちらが一般的なのではないでしょうか。なにより、魔法とは不思議なものであるから魔法なのであって、万人が使えたならばそれはただの「便利なエネルギー」ですからね。


 それはいいとして、「特定の者が魔法を使う世界」にも、欠点があります。先ほどもお伝えしたような、使用者と非使用者との軋轢あつれきや、差別などです。


 魔法を使える者(以下:魔術者)が、魔法を使えない者(以下:マグル)よりも多かった場合、マグルが差別を受ける可能性があります。ディジタルディバイドのようなものですね。また、マグルの数が魔術者を上回っていた場合、魔法排斥運動が起きる可能性もあります。少数の魔術者は、そのファンタジー世界では頂点に立っているかもしれませんが、ふんぞり返っているだけで何の恩恵も施さないのならば、ただの厄介者です。しかし、マグルが反乱を起こして転覆をはかろうとしても、魔術者の強大な魔法には手も足も出なかったとしたら……? こういった物語を作成することも可能なのです。


 というわけで、少人数の魔術者と大人数のマグルという世界が、魔法という存在をより一層引き立たせるベストな構図です。とりあえず一度、自分だけの世界をまるごと作ってみたい! という方に勧めます。

 


 ……ひとつ、謝罪すべきことがあります。お勧めとは言ったものの、選ばれものしか魔法を使いえないという設定は、もう一段階深く想像してみなければなりません。というのも、彼ら魔術者は、何によって魔法を使えるようになったのかが、明確化されていないと困るからです。 


 でも大丈夫。ここは「魔力他源型」の考えを用いれば、ラクに構築を終えることが出来ます。精霊が、その「選ばれし者」とやらにしか宿らないとするとどうでしょうか。彼らだけが精霊を体内に宿す精霊の言葉を会得しているとか、特別な儀式をすることでしか精霊を呼ぶことが出来ないとか、色々な理由を作ることが出来ます。



まとめ:「魔法」がある世界と言っても、誰もがそれを使えるとなれば多くの問題が浮上する。区別をするべきだろう。

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