6.対象の有無

 今まで魔法に関する様々なことを決めてきましたが、今回はその「対象」。考えるというよりは、改めて考察するといった具合なので、緩い気分で読んでいってください、


 「対象のある魔法」

 対象という観点で魔法を見たとき、それは二つに大別されます。その一つがこれ。物を触れずに動かしたり、内側から爆発させたり……。この種類の魔法は先ず、対象にどう干渉していくのかをキチンと設定しておきます。その次に属性を確認します。

 ただ、ここで厄介なのは、対象のある魔法は属性がないことが多く、すべての魔法に属性がついているという設定の世界の場合、作るのが難しいということです。特に四元素(火、土、水、風)をそのまま属性に採用している場合は例外を作る必要があります。もしくは風属性の魔素の中に「操」なんていうものを作ってもいいですね。



 「対象のない魔法」

 この魔法は、例えば炎を手のひらから出したり、杖の先からマグマをほとばしらせたりと、いろいろなバリエーションが想像できます。ですので、どちらかといえば対象がある魔法という印象がありますが、魔物を標的に炎を発射するという類のいわゆる攻撃魔法は、この解説の中では「対象のない魔法」に分類されます。ここでの区別は「対象があってはじめて作用する」のか、「対象がなくとも作用するのか」という風にして分けていますので(これをはじめに言っておけばわかりやすかったのですね。失敗……)



 「対象で魔法を分類する」


・対象がない→無対象魔法

・対象はなくても発動できるが、あっても有用→汎用魔法

・対象があってはじめて発動の意味がある→干渉魔法


 「ある」と「なし」を組み合わせれば、合計四つの組合せが出来るのですが、「対象があるが、なくても発動する」という魔法と、「対象はないが、あっても有効」という二つは同等とみなしました。


 先ず「無対象魔法」です。これは気候を司る魔法であったり、洗脳したりといった魔法のことです。しかし、気候を操る魔法は空気を対象にしているとか、洗脳も心を対象にしているとかいったとらえ方もあるため、実際のところ、汎用魔法との境界があいまいではあります。純粋な無対象魔法は光を生み出す「光源」などが考えられます。


 「汎用魔法」は、先ほども申し上げました通り、炎を出したり、雷を出したりといった魔法のことです。炎を出す魔法はそれだけにはとどまらず、怪獣やほかの生物に外傷を与えるなどの方法もありますね。どちらでも効果があるのですが、多くは無対象魔法→汎用魔法か、干渉魔法→汎用魔法といった順番に発見されるでしょう。初めから汎用魔法として開発・発見される魔法は、高度な知識と深い考察が必要でしょうから。


 最後の「干渉魔法」も、例は前回の項にあるので省略します。こちらを考えて良く際には対象も主役級の存在感を発揮してきます。それがないと意味がありませんからね。


 そんな訳で、こちらでは対象についての設定を考えていく必要があります。特に魔法を「詠唱型」にしている方は要注意です。おそらくその場合は、発動する時、


・魔法を使いたい→呪文詠唱→対象への誘導の文句→魔法発動&対象に作用


 といった手順を踏むことになります。「対象への誘導の文句」が追加されましたが、これがポイントです。「対象を魔法の言葉で詠唱する行為」をこう表現しました。詠唱型の項目でいうのを忘れたのでここで言っておきますが、対象を表す呪文も決めておかねばなりません。言わずと知れたファンタジー作品「ゲド戦記」では、魔法がまさにこの設定で成り立っています。ですから、魔法使い達は特別な理由でない場合以外は決して自分の本名を言いません。他人にそれを知られてしまうと、自分に魔法をかけられるからですね。

 こうして言うのは簡単ですが、はたしてこの設定を思いつくか、と問われれば素直にハイとは言えないかもしれません。地道に、そして論理的に世界を構築していくほかないでしょう。



まとめ:魔法を対象で分類する時には、まず二つから四つに大別すると良い。通常の物語作品ならば、対象を魔法で分類する作業など必要ないが、魔法理論をしっかりと体系化しておいて損はない。

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