俺の前からキス魔が消える……!?

春休みも終盤となり、俺は相変わらずレポートやらの課題に追い込まれていて疲れていた。この状態で俺は2日連続オールというスケジュールで過ごしていたのだが、あまりにもだるすぎてそのまま机にぶっ倒れて少し浅めの眠りについていた。

そして、ついにその時は来る。



夢を見た。

薄く白い霧がかかっている。

そして、そこにはこの前、家を出ていった時と同じようにうずくまってぶるぶる震えているショコラがいた。

次に、ショコラに俺が話しかけた。

やはりこれはこの前と同じ流れだ。

でも気になるのが、この夢……俺目線ではない。

俺は夢の中の俺の腕の中に入ってから気づく。

どうやら黒猫目線のようだ。

するとショコラが突然なにか呟いた。

聞こえない。それに、霧が濃くて表情がわからない。

水滴がポツリと落ちる音が聞こえる。

水滴が地面を打つ音がテンポを早めてく。

まるで、あの時の雨のように。

違う。けれどあの時とは違う。

足音が聞こえる。

その足音はどんどん離れてく。


「ショコラ! 話と違うじゃないか!」


俺は、


「あんたがまたあたしの夢を見ない限り戻れないわっ」


この言葉を思い出して、すぐに飛び起きた。

俺は今、確かにあいつの夢を見た。

生意気で最初はすぐに夢の中に戻っちまえと思っていたあいつの夢を見て俺は今焦っている。

焦りよりも恐れというのが強いのかもしれない。

つまり、俺はあいつと別れることを恐れている……みたいだ。


「おいっ! ショコラ! いるか! いたら返事をしてくれ!」


だから俺はショコラの返事を求める。

生意気だろうとなんだっていい。

声が聞きたい。

声を聞けないと今の俺は正常を保てない。


「ショコrっ」



〝なぁーによ、あんた。

ついにあたしの夢でも見たかしら?〟



なんでお前はこんな時でも勘がいいんだよっ……。


「全くだなっ! 俺、参っちまったぜ! お前の夢見て超焦った!」


「あっ、ああ焦った……!? 焦った……のねっ……」


相変わらずのバレバレの赤面だ。

はぁ、仕方ねえ。

これはそういう流れだろう。



〝俺は、お前っ! いやっ、ショコラの事が好きだ! 最近お前の事ばっかり考えていた! だからまだ行かないでくれ!〟



人生初の告白というものをした。

少々長めの文になってしまっただろうか。

さて、俺の人生初の告白の結果はどうだろう……。



〝あんたは馬鹿ね。あと、心配しすぎ! 私はまだ戻りゃしないさ! あたしにもあんたを好きでいさせて!〟



これは成功……? だよな……?

これまたこいつらしい返事だ。


「おう、もちろんだ!」



こうして俺らは好き同士ということで付き合い始めた。

なんだかキス魔と付き合うってのもなかなか不思議なものだが俺の日常に幸せを与えてくれるのはいつだってこいつだった。

シフォンはいつも通りふわふわでゆる~く、幼なじみとは……浮気と疑われないように俺が必死に恵李を止めていたり……。



〝チュッ〟



そして、油断してたらいつもだ。

付き合い始めて、彼女となったキス魔のキスは前よりも効果が強くなった気がしたのだった。



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キス魔のキスマは魔法のおくすり♡ 頓知 純粋(ぴゅあ) @pyuapyua_v

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