三次元 ハダカで眠るのが一番
ごきげんよう。わたしの名は
寝る時は何も着ないのが一番気持ちいいですよね?
何だ唐突に、と思われるかもしれない。これは過去のある時点で、
素っ裸になって砂丘のど真ん中で大の字に寝転がるのがイイ
という話ではない、と念の為に言っておこう。それは生贄に他ならない。
件の友人は、一緒にブータンへ行きませんか? などとこれまた唐突に誘ってくるような変わり者。そんな風に
話が逸れている。悪い癖だ。
何も着ずに眠ることについて、わたしなりに考えてみた。これは勿論、着衣は無いが何かしらに包まれて、という前提の話である。でなければお腹を壊してしまう。
それに寒いと本当に眠れない。
春先の山小屋、晩秋の野宿。中途半端に装備が足りず熱が奪われてゆくのは非常に辛い。腹を守ろうと丸まれば雪女が背を擦り、背を地に着ければ足から魂が引き抜かれてゆく。恐ろしい話だ。ガタガタと身体を震わせてようやく生み出した熱が無情にも宙に霧散していくようではいけない。
だからこれは満足に『保温』されていることが大前提の話なのだ。さて、わたしが辿り着いた結論はコレだ。
何なりと直に肌で触れ、自由に熱交換するのがよろしい
暑い夏にエアコンで冷えた布団に包まれるのが心地良いとか、そういう話だ。
まあ、そんなことはさておき、例の友人は、自宅では普段からすっぽんぽんの状態で眠るらしい。「物理的な可動域が制限されるから着衣は窮屈。裸体で眠ることで初めて究極の自由を得られるのだ」だそうだ。
なぜか真理を得たような心地になる。まあ、露出しているわけでもないし、お腹が冷えないならソレでいいと思う。
はてさて、あの二人のことはともかく、今日もわたしは相棒の話をしたい。
相棒の名は
無色で人知れずこの世界の片隅に居るだけの蒼翠は、先々週木曜日に目を覚まし、先週木曜日に微睡みから抜け出し、さらにたっぷり一週間は周りの景色を眺めていた。
『おはよ』
皆さん! 今、蒼翠の言葉が見えましたか⁉
因みに今のはわたしが代弁しました。蒼翠には口がありませんから。わたしの相棒は無口だと、これまでに何度か触れてきたでしょう?
「寒くありませんでしたか?」
『ああ、そのことか』
このハダカの相棒は、姿が無いのだから当然お腹も無い。とはいえ、眠っている間に調子を崩す可能性もなくはない。想定しうるだけに気にはなる。だから起きたら聞いてみようと思っていた。
一応、
この相棒はつくづく謎めいた存在だ。わたしとて蒼翠の全てを知っているわけではない。誰しもそういうものだろう。知らないことの7つ8つくらい。そのくらいの関係がちょうどいい。
『やっぱりハダカで眠るのが一番』
そうですか。そういえば以前、ダイレクトに風を浴びる開放感が良い、とまるで風呂上がりに服を着ずにそのまま走って行く幼子のようなことを言っていました。
まあ、何も着ていなくとも露出は皆無ですし、何の問題もないでしょう。
もしかすると眠っている間、積極的に放射冷却しないと温暖化してしまうのかも知れません。眠くなった赤子は手足の血行を良くして外気で血液を冷まし、体温を下げて熟睡モードに移行するそうですから、蒼翠もそれに準ずるのかも知れません。
眠る間に、静かに情報の断捨離・整理整頓をする脳のようなものかも知れません。何も判らないから可能性は無限大。
全てをさらけ出す
丸裸ですけども、従来の『ハダカのおうさま』とはちょっと違うな、くらいは感じ取って貰えたでしょうか。お召し物が見えないのではなく、なんにも見えないのです。どうです? 蒼翠という存在について、少しは立体感を帯びてきましたか?
ハダカで眠るのが一番
これが今日の結論。ということは、わたしが提唱する『全裸睡眠・自由熱交換論』はそれなりに筋が通っているのかも知れません。そういえば、人間共は人肌の温度が一番心地よく感じるそうですね。
さて、何故こうもハダカハダカと言ってきたのか。
それは
はい。ではまた来週。木曜2021に。
次はもう少しライトな話にしましょう。四次元目は、時空の旅へ。
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