第4話嬉しい…ハズなのに
「ふんふんふんふーん」
普段は僕しかいないマンションの一室。
そこの台所から、女性のかわいい鼻歌が聞こえて来る。
「ふんふんふんふふんふーん」
そんな可愛い声を聞きながら、僕は、
「ふうーーーーーーーぅおーーーー…」
凄まじい罪悪感に襲われていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「はいっ!あなたのお嫁さんになります❤️」
篠原かえでは確かにそう言った。
…ほ、ほんとに彼女なったのか。
や、やった。つい怒りに身を任せてやったモンだからいまいち実感がなかったけど…
よし、よくやった僕!
っていうか…
「…お嫁さんって?」
「…ご、ごめんなさい。…いやでしたか?」
「い、いや…いいんだけど…」
「っ!ありがとう❤️アナタ❤️」
彼女が僕に抱きつく。
突然の事でびっくりした。
嬉しい…夢みたい…。彼女の豊満なそれが、僕の胸に当たってる……。
っていうか、なんでお嫁さんなんだろう?
彼女になってって言ったよな?
まいっか、幸せだし。(思考放棄)
「そうと決まれば早く帰りましょう!
実は旦那様に食べていただきたい料理があるんです!!」
「お、おおいいね」
おおまじか。
篠原の手料理か。
それは嬉し………ん?
「ちょ、ちょっと待って篠原?」
「…旦那様?」
ん?
「私達、夫婦ですよね?」
え?フウフ?
「だからその…名前で呼んで欲しい、です…」
少しほおを膨らませながら、彼女は怒ったように言った。若干恥ずかしかったのか、最後の方になると口籠っていた。
かわいいかよ。いや可愛んだけども。
「…かえで、ちゃん」
「…」
「あの…」
黙ったまま、ほおを膨らませ続けるかえで。
「…かえで」
「はい!!❤️」
満面の笑みで反応した。下の名前だけって恥っず。
「料理を作るって…篠原の家でってこと?」
おそるおそる尋ねてみる。
さっき一緒に帰ろうとか言っていたから、気になったのだ。
「?違いますよ?」
彼女はそう言った。
そりゃそうだよな。いくら俺が彼氏とはいえもう夕暮れ。篠原の家族だって帰ってくるだろう。こんな時間に家に男をいれるわけないか。
「悟君の家に決まってるじゃないですか。」
「決まってないよ?」
さも突然のようにそう告げる篠原に、僕は思わずつこっんだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから1時間後。
ピンポーン
家のインターホンが鳴る。
篠原がやってきた。
「おじゃましまーす。」
そう言って家にはいってくる彼女。
「すいません、本当はもう少し早く帰ってくる予定だったんですけど、思いの他荷物が多くて。」
そういいながらスーパーの袋を置く。
僕の家に篠原が来ることが決まった後、
料理の材料を買わなければならない、ということで篠原だけスーパーに、
僕は先に家に帰って片付けをしていた。
催眠状態であったとしても、彼女が来るわけだから、綺麗な状態にしておきたかったのだ
「ごめんね、ぼくもついて行けばよかったね。」
「いえいえ、これくらい出来なければ妻❤️失格ですからね!気にしないでください!」
満面の笑みでそう告げる彼女。
あまりの可愛さに、思わず僕まで笑顔させられる。
そして、
…こんな顔を、柳沢には毎日してるのか。
ついついそう思ってしまう。
家に帰ってからずっと悩んでいた。
彼女が自分のものになったのは嬉しいが、それはあくまで催眠によるものだ。
彼女は、本心では柳沢を愛しているのだ。
彼女の催眠を解いた時、彼女はどう思うだろうか?好きでもない男子に、汚されたと、思うだろうか?
自分は今、篠原かえでという1人の少女を貶しているのではないか。
「悟君?」
篠原に声をかけられて、はっと我に帰る。
「ごめん、ごめん。さあ、冷蔵庫に食材を入れようか。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
毎日投稿と言ったな、あれは嘘だ。
もし学年1の美少女が催眠術にかかったら? ファンクション @youkurimoto2
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。もし学年1の美少女が催眠術にかかったら?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます