第17話 ホーンラビット
森を覆い隠すほどに密集した木々を風魔法で切り倒しながら森を進む。別に木を切り倒す必要はないが、明かりがなくて歩きにくいのと、ただ単純に魔法を使ってみたかっただけだ。三か月の修業の成果で魔法を使えるようにはなったが、まだ実践では使った事がないため今のうちに試しておきたかった。
今使っている魔法は嵐魔法『鎌鼬』、魔力を限りなく薄く鎌のようにして射出する魔法で、嵐魔法のスキルを手に入れたときに使えるようになった。正確には、使えるようになったというよりも制御できるようになったという表現が正しい。
どうやら単純な魔力を操ることはそう難しくはないのだが、そこに属性という要素が入ってくるだけで操作の難易度が桁違いに上がってしまう。そのためスキルの補助がないと単純な魔法の行使すらままならない。ただ、自力での制御が不可能というわけではなさそうなので今後の訓練次第ではできるようになるかもしれない。
魔法というものは、魔力を使って自分の想像の具現化を行うことで、魔術というのは呪文の詠唱を行うことで世界に呼び掛けて、元々この世界に登録されている魔法を自分の魔力を消費して世界に代理で行使してもらうということである。また、魔術を使うときには行使するための手数料として魔法に比べ少し多めに魔力を消費しなくてはならない。これは魔神であるイリアに教えてもらったことなのでまず間違いない。つまり大量の魔力を消費して使う魔術は自由度の高い魔法の下位互換ということだ。魔法を先に習得しておいて正解だった。
そして俺が今使っているのは自分で作った魔法だ。別に『鎌鼬』とかいう風に名前を付けなくても使うことができるのだが、名前を付けたほうが想像がしやすくなるのか付けていない時と比べて魔法の威力が約1.5倍ほどになるため名前を付けるようにしている。それに名前があった方がかっこいい。「閻魔黒龍波ぁ!!!」的な感じで。
もくもくと伐採しているうちに深い森を抜けた。今いる浅い森との境目を見てみるとはっきりと俺の目でも判断できるくらいの境界線ができている。明らかに人為的なものだ。もしかしたら、この近くにこれを行った人や魔物がいるかもしれない。これだけの事ができるということは、魔法が使える使えないにせよ今の俺では勝てない。この場所は早めに離れたほうがいいだろう。そう判断すると俺は、足早にこの場を立ち去った。
10分くらい走っていると遠目にウサギを見つけた。まだこちらには気づいていないようで無防備に草を食んでいる。キラキラとしたつぶらな瞳を持っていて、額からはかわいらしい角が生えている。
この世界の知性のない動物はすべて魔物と聞いた。愛らしい見た目だがこいつも魔物なんだろう。とりあえず燃やしてみるか。
「火球」
火魔法で作った直径1mくらいの火の玉を飛ばす。魔法というのは不思議なもので自分の魔力で作られたものは自分に害することがない。この火球もメラメラと燃え周りには陽炎が立ってるのに、手を突っ込んでも全く熱くない。それなのにウサギに着弾すると、ボウボウと火柱を上げながら燃え上がった。
「キュウゥゥゥ_」
か細い声で鳴きながらもがき苦しむとばたりとその場に倒れた。ゆっくりと近づいていくと、黒焦げた死体がさらさらと崩れ落ちるように光になって消えてしまった。そして光が集まったかと思うと、黒く焼け焦げた地面の上に魔石と生肉、角が落ちた。
この世界では生肉が素のまま落ちてくるようだ。倒してから肉になるまでに謎の待機時間があったがその間にキャッチしろということだろうか。それならそのまま死体が残ってくれる方がありがたいのに。ステータスという便利なものがあるのにどうしてこれは改善しなかったのか。
『ホーンラビットを討伐しました』
『レベルが2上昇しました』
『魔法制御Lv1を獲得しました』
『炎魔法Lv2に上昇しました』
このウサギはスライムよりも経験値が多いらしい。倒す前のレベルが62と結構な高レベルなのに2つも上がった。もしこの辺にたくさんいるなら、片っ端から殺していこうかな。
戦利品を拾いポケットに入れる。ただ兎肉は土や灰がついていて汚いのと、流石に生肉は持ち歩きたくないのでその場に放置する。切り倒した木もそのまま放置してきたし今更だろう。
行く先は決まってないが、とにかく歩いてみよう。
歩いている間、暇なので別の事を考える。
神界に入るための条件は、種族が神であることだった。
厳密にいうと、神じゃなくて神の力を持っている種族であればいいらしい。神様の住む世界には神様しか自由に行き来できない。まあ当たり前の理由だ。
だったら神になればいいじゃないか。と言ってもそう簡単になれるものでもない。大量にレベルを上げて何回も進化を繰り返してようやくなれるものらしい。イリアが神になるまでは大体百年かかったらしい。それでも神様の中ではトップクラスに速い方だと言う。
まあ、気楽にやるか。どうせ、この世界で生き抜くための最善の策は強くなることだ。最終目標を神になるとでも設定しておこう。ついでにあの狼を殺せれば万々歳だ。
それと進化の方法についてだが、どの種族も一律で100レべまで上げると進化できるそうだ。ただ、種族によってレベルの上がりやすさが違って上位の種族になるほど上がりにくいらしい。
要は何をするにしてもレベルを上げろということだ。
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ステータスの表記方法を少し変更しました。
第17話最終ステータス
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【名前】カイヤ
【年齢】18
【種族】人族【亜種】
【Lv】64
【HP】680(680)
【MP】1010(1010)
ー【能力値】
【筋力】850+6000
【魔力】1050+6000
【知力】1040+6000
【幸運】1000+1000
【防御力】800+6000
【精密性】810+6000
【敏捷性】920+6000
ー【スキル】
中級蹴術Lv5
初級蹴技Lv6
初級基礎能力強化Lv6
身体強化Lv5
探索Lv5
精神統一Lv10(MAX)
明鏡止水Lv10(MAX)
炎魔法Lv2
氷魔法Lv1
嵐魔法Lv4
金魔法Lv1
聖魔法Lv1
闇魔法Lv1
魔法制御Lv1(NEW)
ー【ユニークスキル】
魔人Lv2
幸運
解放
異常進化
融合
分解
早熟Lv3
慧眼Lv1
大器
調教
掌握
教祖Lv1
作成Lv1
魔力覚醒
魔力支配
魔力回帰
ー【加護】
運命神の寵愛
エリアス創造神の加護
地球創造神の加護
ー【称号】
亜種
進化の系譜
転移者
魔王
教祖
運命の覇者
ー【言語】
神位魔法言語
ー【能力開放】
魔術
魔法
ー【職業】
修練者
初級万魔導士
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・・豆知識・・
この世界の人間以外の動物は知性のあるなしで名称が変わる。
知性のない動物は『魔物』、ある動物は『魔獣』という。
人違いから始まる異世界無双 こうせいのノート @Kousei_
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