「それじゃ、また明日」

燃えるような夕焼けが

立ち尽くす僕らを包んだ

薄暗くなる僕の影、君の姿


自転車を押して帰ることが多かった

それは間違いなく時間稼ぎ

早く帰る理由なんてなにもなかった


カーブミラーが見えたら

おしまいの合図

左が僕で右が君

ちょっとだけのお別れ


じゃあね、また明日、ここで会おうね

手を離して、体温が下がった

うん、また明日、待ってるね

彼女の言葉はいつもと同じだった



きっと物語ならこのあと彼女は死ぬ

でもこれは人生だからそうはならない

わりと簡単には僕らは死なない



じゃあね、また明日、ここで会おうね

離した手で自転車のハンドルを握る

うん、また明日、待ってるね

彼女の言葉は昨日と同じだった


彼女の想いは 昨日と同じなんだろうか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩集「春と青を繋ぎ合わせた天才」 瑞野 蒼人 @mizuno-aohito

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ