アンスタイル

藤泉都理

アンスタイル

 ヒーローとは何か。



 悪者をやっつける超人。



 ノン!!



 え?



 ヒーローとは存在するだけで困っている人々を助けられる存在なのです!!



 はあ。



 おめでとう!!あなたは選ばれました。タンタカターン。



 え゛?








 吾輩は猫である。


 人間でもある。


 そして、ヒーロー…でもある、らしい。
















 あ.挨拶は




 部屋で寝ていたと思ったら道路で目が覚め。


 どうしてここにと疑問に思いながら、目を擦ろうとしたら赤茶と黒が混色している毛深い二の腕が目に入って。


 寝ている間に悪戯でもされたかと納得しながら、家に帰ろうと立ち上がろうとしたら二本足で体勢が取れないことに気付いて。


 二本の腕と二本の足で身体を支えている体勢になって、尻の一部が引っ張られているような違和感を覚えて。


 猿にでも退化しちゃったかなー、と、虚ろ思想で辺りを見回していたら、やたらと高いブロック塀のもっと上から筋斗雲が下降してきたかと思えば、現れたのは二本足で立つ猫神様。


 天使の輪っかついているし。

 立派な白鬚持っているし。

 神様、もしくは仙人専売の杖を持っているし。

 神々しい波動を放っているし。


 これぞ神様、という風体をしたその猫神様は、私にヒーローの存在意義を説き、ヒーローに選ばれたと祝福し、ヒーローとして困っている人を助けよと命じられた。



 猫として。



 いやいやまあまあ。


 選ばれちゃったもんはしょうがないし。


 人間としての私がヒーローとして何かできるかといえば、何か能力が与えられたとしてもこれっっっぽちもできるわけないのだから、猫にされたことは別段いい。


 人間の感覚を忘れない為に、食事時とトイレ時には家に瞬間移動させてあげようとの破格の条件もついているのだから。

 応か否かを答える前に見知らぬ部屋に連れ込まれたのはしょうがないとしよう。



 ただ。



「あの子と仲良くするにはどうすればいいと思う?」


 目に痛い長い金髪。口元だけでなく鼻まで覆うマスク。真っ黒な学ラン、を着ている少女の膝に乗っけられ優しく撫でられている私はとりあえず、にゃあと鳴いてみた。






 突然部屋の中に現れた猫に驚くことなく、また追い出すこともなく、優しく招き入れて相談を始めた少女の名前は、宇多田三七十(うただみなと)。二階建てアパートの一階東端の部屋に一人で住んでいる応援団所属の高校二年生。

 

 どうやら仲良くしたい相手がいるらしいのだが、声を掛けることさえできない状況とのこと。


「サブコナルマミとマミコマルミメを配合させてコランチョの芽に三日三晩漬ければサンダーを取り除けると思うんだけど」


 なんでも、見た目は竹の植物に薬物を注入したり移動させたりしながら、鶏の卵みたいな状態にさせたらコンプリートするというゲームをしているのがその子だけらしく、ど~しても仲良くなりたいのだそうだ。


 化学の授業を聞かされているような状況に大いに辟易しながら、私は想像した。


 今から連れていかれる公園の大きな木の下に設置してあるベンチに座ってゲームをしている、その仲良くなりたい相手、の傍に近寄ってひたすら構ってアピール。

 足にすり寄ったり、腹を見せたり、飛び乗って膝に乗ったり。

 そうして三七十が近寄れる状況を作り出す。

「猫好きなんですか~」「そうなんですよ~」「あら、もしかしてそのゲームは」

 三七十もゲームを取り出し、話は弾む。


 私の出番終了。となる場面を。




 ただ問題となるのは、相手が猫好きかということだが、まぁ、大丈夫だろう。

 わざわざ猫にしたことが、その答えである。




 答えであった。


 が。


 今、任務を完遂すべきか、逃避すべきかの思想が、もみくちゃにされながら、せめぎ合っていった。


 猫好きは、猫好き。超がいくつもついていいほどの。

 予想通りの展開。

 さあ、あとは三七十が勇気を出して話しかければきっと。



 だったはず。



「みけちゃん。毛並みをととのえましょうね~」



 私の毛を自分の手でボサボサにして、自分の櫛で整えるをエンドレスに繰り返すその子の名は、佐枝こすも。五歳。月火水と土曜日だけ保育園に通っている。猫は好きだが、マンションでは飼えないこと、何より母親が苦手らしく、目にすることさえあまりない。コもっちょという、三七十もしているゲームも大のお気に入りらしい。


 元気溌剌に自己紹介と強烈なマッサージを続けるこすもに、遠くなる気を何とか繋ぎ止めながら、遠くから見つめている三七十に早く来んかいと目で訴える。


 このままじゃ、精神的に、だけではなく物理的にも毛が抜ける。手はまだ我慢できる。だが櫛が痛い。肉に食い込んでいる。必ず毛が抜けてみすぼらしい格好になる。こすもの興味が薄れる。私を介しての仲良くなりましょう作戦が実行できなくなる。


 ミッションノーコンプリートである。


(早く~)


 目が血走っている。わかる。涙も出てきそうだ。


(はやく~)


 ふと、もみくちゃにされながら、私はどうしてこうしているのだろうかと、考えた。


 ヒーローになっている。

 猫のヒーロー。

 悪人と戦わない。

 アニマルセラピー。

 いるだけで癒される存在。

 いるだけでいい。

 動物って素晴らしい。

 植物も。

 人間も…赤ちゃんと恋人、だったらきっと。

 癒されるだけではないだろうが、きっと、比重はそちらに傾く存在。


 ああ。

 花畑が見える。

 澄んだ川の向こうにある。

 癒されたい。

 ふらふら足が誘われるように動く。

 動いて、動いて。

 チャプっと、川に足の指先を付けた、途端。



「…トイレの時間か」



 人間の姿に戻った私が用事を済ませると、いつの間にやら三七十の腕の中にいた。



 臨床体験に遭っている間に近づいたのだろう。

 視線を下げれば、こすもがこちらを見上げていた。

 でもベンチがない。大きな木もない。入り口の付近。三七十が見ていた場所。

 つまりは、耐えきれなくて、逃げた、ん、だろう。が。

 きっと、結果オーライ。

 

(さあ、話しかけよう。三七十)


 励ますべく、ニャーニャーと鳴いてみる。

 きっと想いは通じた。

 三七十は私を抱きしめる力を込めて。

 口を開いて。


「ちっ」


 舌打ちをして去って行きました。




「違うのよ~。緊張して。でも、あんな風に触ってたらあなたがストレスで寿命短くなりそうだし~。ちょっと注意してあげたほうがいいだろうって。でもどういう風に言えばいいかわからないし~」


 えんえんと泣き続ける三七十に、私は前途多難を悟った。






 俺は走る。

 金を抱えて走る。

 走って、走って、逃げ切るんだ。










 んす.押忍




 背中に背負いしは。


 誇りと申します。


 両の腕に抱くは。


 愛情と申します。




(生き生きしているな~)


 本日、金曜日。午後五時半。夕暮れに染まる少し前。

 校庭にて、応援団の部員が応援に、それこそ命を燃やして勤しんでいる。

 三七十もまた同じく、応援団旗を右に左と半円を描きながら振っている。


 人と旗と太鼓と。

 顔を真っ赤にして。

 汗を流して。

 声を枯らして。

 音を響かせて。

 熱風を生んで。

 背中を押して。


 これぞ青春だよな~と、胸が躍らせながら、今日もまた、日が暮れても腰を下ろすこともなく、シャンと背中を伸ばして帰路へと向かう彼女らを見つめる。




「本当はね~。卒業するまで応援団旗をいつも持っていたいんだけど。先生が学校の備品だから持ち出し禁止だって注意してね。で、代わりに団旗と同じ重さの鉄棒を背負っていたらお巡りさんに注意されて。もーしょうがないから、学校がある日は全教科の教科書とノート、それに辞書をいつも持ち歩くようにしてるの」


 翌朝。三七十の横をちょこちょこ歩いてついていく私は若さ、と、体力のある彼女が羨ましく思うと同時に、二本足で歩けないものかと、この身体を恨めしく思う。


 猫である時はまだいい。

 だが、トイレ時、食事時と、人間に戻った時、足と腰と腕と言わず、全身が悲鳴を上げるのだ。

 四つん這いは全身の筋肉を隈なく使っていたのだろう。

 赤ん坊の時の私はどうだったのだろうか。

 苦しんでいたのか、それとも、難なく、こなしていたのだろうか。


(……二本足で歩くようになったその瞬間、衰退に向かっているんだろうか。いや。でも、二本足になったからこそ、手が使えて、色々なものを生み出せたんだしな~)



「退け!!」


 つらつら考えていた私を襲ったのは、つんざく男の声と、尻へのとてつもない衝撃および痛み、次いで、浮遊感。


 わあ。宙に浮いている。


 と、TV画面を介しているかのように今の状況を捉えながら、人間の私ではできないであろう一回転までこなして、塀の上に身軽に着地。

 そうして見下ろした先には、よろめきながら逃げる男の姿と地面にへたり込んでいる三七十の姿。

 恐らく、三七十が重量通行鞄で以てして男に攻撃、したあとに。


「ニャーニャーニャーニャー」


 塀から飛び降りて、三七十に呼びかけながら無事を確認する。

 外傷は見当たらない。

 怯えている。


 何に?

 男に?

 恐怖に?

 自分への?

 私への?


 大粒の涙さえ流してくる三七十に、けれど、人間であっても掛ける声がなかっただろうと、おかしなことだろうが言葉が通じない今の姿に感謝をする。



 言葉は不要。

 心音だけを届けられればいいと、抱きしめられているその時は本気で思った。



「これ、おねえちゃんの?」


 声を掛けてきたのはこすもで。

 どうやら男への攻撃の際に、鞄の中身がばらけたのだろう。

 小さな身体に目いっぱい教科書やノートを抱え込んで近寄って来た。


「うん。ありがとう」


 涙を拭って、こすもから受け取り、気遣ってくれるこすもの母親にも会釈をして、三七十は立ち上がり、深々と頭を下げ。て。

 猛ダッシュでその場から逃げ去って行った。




 だから。




「あら。これ、こすももやっているゲームじゃない。さっきのお姉ちゃんのかしら?」


 うんと返事をしたこすもの視線の先には、ゲーム機に控えめに書かれている名前。

 こすもは、うただみなとおねえちゃんと小さな声で読み上げた。




 最大のチャンスを逃したことを私たちはまだ知らなかった。

 今は。




「暴れないよ~」

「ぶにゃあー!!」

「みけ。おとなしくして。絶対骨が折れてるから」


 折れてないってば。

 との、私の心の叫びが通じるはずもなく、私は獣医のおじさんの顔と手にしばし、耐えなければならなかった。






 飛んでいる。

 俺は飛んでいる。

 きっと俺はさっきの女子高生に殺されたんだ。

 身体も軽いし。

 幽体離脱ってやつだろう。

 少し…じゃないが、あの程度の痛みで死ねたのなら、僥倖だ。




 と思っていたのだが。






た.闘わずして勝つ




 結局、健康体で返された昨日の朝。

 元気に部活に勤しむ昼夕方。

 時々、怯えた表情になるが。

 翌朝の日曜日。失くしたコもっちょを捜索中の私たち。


「うう。あれもうどこにも販売されていないのに。みけ。匂いで分からない?ほら。私の血と汗と涙が詰まった学ラン」


 そんなに爆臭のする学ランを押さえつけられたら、鼻が壊れます。


「…みけ。この学ランの匂い、好きなの?」


 いやいや。この嫌そうな顔が分かりませんか?


「笑ったような顔だし。気に入っているのかな?」


 私は今笑っているの?ホワイ?


「気に入っているなら、家にあるハンカチを首に巻いとこうか。この学ランの中に入れてて洗おうと思ったんだけど」


 洗ったのプリーズ!!


 首を引きちぎらんばかりに振って否定の意思表示を図ろうとしても、うんそうしようと、自己完結した三七十の後ろ姿に、そのハンカチを口にくわえて逃亡を図ることが決定いたしました。


(自分の家の庭に置いて人間に戻った時に洗って、猫に戻った時にくわえて持って帰ってこよう)




「…みなと、おねえちゃん?」

「ああ」


 低姿勢から直立不動へと移行した三七十は呼ばれた方向へと身体全体を向けた。

 昨日出会ったばかりのこすもが、コもっちょを二つ持って立っていた。


(そういえば、律儀にゲーム機に名前を書く用のシールを張ってひらがなで名前書いていたっけ)


 しかし、と私は常々疑問に思う。

 何故、三七十はこすもに対してだけ、ドスの効いた態度を取るのだろうと。

 睨みつけているし。

 普段の声の何倍も低い声出しているし。

 そのマスクの下では鼻や口の形はどうなっていることやら。

 本人は照れ隠しだと言っているが、こすもの母親が一緒だったら、普通……だったのに。

 いちおうは。


(こんな態度じゃ、こすもが怯えて仲良くなれないでしょうが)



「おねえちゃんの?」

「…ああ」

「一緒にあそぼ?」

「ッチ」

「あそぼ」

「…チマ」

「あそぼ」

「…ふも」

「じゃあ、公園にいこう」



 勇気。辛抱強さ。天真爛漫の笑顔。

 こすも。君はきっと大物になる。

 でも、見知らぬ人に一人で声を掛けないでね。

 今は肉食獣の眼をしているお母さんが遠くから見守っているからいいけど。


 三七十に抱きしめられて、脚を宙にプラプラさせていた私は、何の役にも立たなかったなと、心の底から笑った。






 俺は逃げている。

 何からだって?

 死神じゃない。

 猫だ。

 巨大猫。

 象よりももっと大きいのが、一直線に俺だけを追っかけて来ている。

 俺は飛んでいる。

 もっと上に飛べればいいんだが、地面すれすれにしか飛べない身体。

 腕が羽に変化して、それを一生懸命動かして飛んでいるので、非常に腕がきつい。

 楽に死ねたと思ったのに。

 どうやら神は犯罪者をそうやすやすと赦す気はないらしい。


 

 まあ。似合いの死に方か。



 諦めて、腕を下ろそうとした瞬間。

 

 耳につんざく猫の鳴き声。

 新たな襲撃者か。それとも歓喜の雄たけびか。

 俺は木の枝のような足を地面に着けて、振り返った。

 猫の手が迫って来ている。

 掴んで食うのか。

 行儀のいい猫だな。

 それともなぶり殺しか。

 猫パンチか。


 つらつら考えていた俺の頭に猫の手が置かれた。


 置かれただけ。


 それから、一秒、二秒、三秒。

 ゆっくり数えてから離れていく手。

 向けられるシッポ。

 去って行く猫二匹の後ろ姿。



 きっと野良猫なあいつは、生きていくのに必死だっただけだろう。


 きっと野良猫なあいつは、俺を助けてくれたのだろう。




 知らず、熱いものが込み上げてきたかと思えば、目から涙が零れ落ちてきた。






 おい本当に高級猫缶をくれるんだろうな。


 約束するって。


 飼い猫の奴らから聞いてて喰ってみたいって思ってたんだよな~。


 はいはい。


 けど、なんで助けたんだよ。子烏だからか。子どもは食べません~ってか?うめえのに。


 今、は、ヒーロー……できるって思った…いや、ほぼ反射的?よくわからない。


 へんなやつ。


 …猫缶あげるの一度だけね。

 

 …一回だけなんてケチクサイことを言わずに全部寄こせや!!



「に゛ゃあー!!」



 今こそ病院に連れて行ってください。






いる.イルカと共に泳ぐ猫




「……おまえなあ。なんでいつも女装して盗みに出るんだって、何度訊けばいいんだ?」


「だから、この世には男と女しかいなくて、俺は男だから女装しなくちゃいけないだろうって何度答えればいいんだ?」


 駐在所の中。一人の警察官と一人の女装をした男性が睨み合っていた。


「まともにまじめにこつこつ働けって言ってんのが分からんか?」


「だからんなこつこつ働いてたら島なんか買えねえんだって何度言ったら分かんだ?あと俺はちゃんとこつこつも働いているっての」


「こつこつ盗みに入ってるだけだろうが」


「金がないっつって、あるとこにもなさそうなとこにもちゃんと金ってあるんだな」


「……反省する気全くなし、だな」


 警察官はガシガシと髪の毛を掻き回すと、机の上に置いていた大きな竹の入れ物を男性の胸元に押し付けた。


「んだこれ?」


「野良猫だけの島を、自分は獣医になってその島に住むっつーおまえの願いに共感した全国各地の皆々様方の募金の一つだ」


「…どうせ五円とか十円だろ」


「憎まれ口を叩く暇があるなら、おまえも捕まって貴重な時間を割くよりも、願いに向かってもっと現実的に動けよ。俺も協力してやるから」


「…その科白は初めてだな」


「……手を貸すより自力で気付けっつー親心みたいなもんだ」


「……ありがとよ」


「感謝ならおまえを記事に載せた新聞記者さんに言うんだな」


 口を尖らせた男性は、ガシガシと乱暴に頭を撫で回す警察官の腕を強引に払うと、分かっているとぶっきらぼうに答えた。






「みけ。今日はちゃんと挨拶できた」

「にゃ~」


 一歩いっぽ、亀の歩みより遅いかもしれないが、着実にこすもとの仲を深めていっているであろう三七十に、もうそろそろ本当にお役目御免かなと思った。




 怒り。嘆き。恨み。悲しみ。妬み。

 新聞記者として明るい記事を、と思ったのは、会社に入った瞬間だけ。

 気が滅入る事件ばかりをあてられ、いつしか、部屋の中に引きこもること幾数か月後。

 猫のヒーローに任命された。



 微笑ましい。

 あたたかい。



 ヒーローなんて。

 救われたのは私のほうだった。



 そうか。立ち直させる為に、あの猫神様は私を猫のヒーローにしたのだと、もうお役御免だと自己完結したのだがそれは大いに間違いで。


 ただ単に、本当に、偶然に、ヒーローとして選ばれたのだから、その命が天に召されるまで任を全うするように、と、仰せつかられました。


 だからと言って、新聞記者として明るい記事を書くという夢を諦めたわけではなく。

 なんとかこうとか、人間の姿の時もだが、猫の姿でも記事を書いて投稿している。






 わけだが、なんかーもー。時々、猫のままでいいかなーと思ったり、でも人間がいいと思い直したりしていて、道の中を猫の姿で歩いている最中。


 何故だか今、一人の男性に追われている。

 

 猫の楽園に連れていくと叫んでいる。

 きっと罠だ。楽園はきっと本物の楽園だ。

 

「に゛-」

「ほらまたたび猫じゃらしー!!」


(人間でよかった。騙されない!!)


「悪いようにしないって!!」

「に゛-ご」


(誰が信じるか!!)


「おまえは俺の恩人で被害猫だから俺がぜってー幸せにすんだって!!」

「に゛-」



三七十。ヘルプミー!!





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